太陽ノ教団

□キオク
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「おねがい、やめて!!

いたいのはやだ!!
いたいのはやだよ!!」

白い壁に囲まれて

白い服を着た人に囲まれて

白い手袋に掴まれて


「やだ、やだっ、離してよ!」
研究施設の、休憩時間のチャイムは
いつものように大きな音で、僕の悲鳴をかき消す中。
服を脱がされて
とても…とても…
痛い目にあいながら

僕は必死に
縋るべき思い出にしがみついた。「やだ…気持ち悪いことはもうやだぁ…っ」

小さな身体でいくら暴れたところで何にもなりはしない。

あまりに抵抗すると
いつもみたいに首輪に電流が流される。

後ろから、血が出ていた
お腹の中が、変な感じだった

何度泣くのを我慢してもこらえられない痛みが
何回も何回も与えられた
「…助け…て」

気を紛らわす為に思い出していた記憶に
いつしか僕は助けを求めていた。

花畑の中、さ迷っていた蝶を追った時のように

片方の手を伸ばし、
助けを求めた。

『シックスはいいこだね
このままいいこにしてれば、いつか必ずいい事が起きるよ』
『本当!?』
『ああ、本当だとも』


ああ…また、思い出した。
僕はいいこにしてきたつもりだ。
だから、きっと…きっと何かいい事があるはずだ。
そう信じていた
そう…信じていたら…

「ここで何をしているんだ?」
聞き慣れた、声が聞こえた
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