捻れた本

□学者ト肉塊
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ふぅ。
さて…と…」

取り敢えず新しい白骨を地下の一室に安置すると
学者は久々に地下から地上へと向かう事にした。
主に一声をかけに、
書斎へと向かう
そこには集められた書物を前に
女中を元に戻す方法を探す少年の姿があった。
珍しい事に、彼の三人の従者の娘達も居るようだ。
「あのぅ、ご主人様?」ノックをし、戸を開ける。
…ちなみに彼が入ると同時に三人娘は姿を消した…どうにも陰気さゆえに避けられているようだ。
「…レンフィールドか。どうした?お前が出てくるなんて珍しいじゃないか。」

ヴラドは席を立つと、
学者を見上げた

「えぇ、実は…研究用の人骨と機材の補充に出掛けたく思いまして、許可を頂きに参りました。」
「…補充に?
あぁ、構わないぞ。」

今までも補充に出掛ける事はある為、主は全く問題無さそうに承諾した。
「どうも、有難うございます。」
学者はにた、と笑うと
実験の材料等を持ち帰る為に使用する、
どす黒く変色したトランクを引いて出て行こうとした。
「…あ、待て、レンフィールド」

部屋を去ろうとする学者を主は呼び止める

「…おやご主人様、まだ何か…?」

「…あぁ、機材を揃えに人里に行く際は日光に気を付けるんだぞ。
お前は…私の研究の為とはいえ…、地下にしかいないからな…」

心底心配そうな顔をする主に
学者はどこか愉快になる気分を隠した。

「あぁ、その事なら心配には及びませんよぉ」

「それとだ」

「はい?」

ヴラドは心配そうな表情をやめると、真剣にレンフィールドを見つめた。
「彼女達にも言ってある事だが、
くれぐれも一般人を襲うんじゃないぞ…
渇きは辛いが…わかって欲しい。

いいな?」

真っ直ぐに向けられた紅の瞳を見
レンフィールドは
乾いた唇を舌で潤してから返事をした

「えぇご主人様…
勿論、そんな事はいたしませんよ…。
ほら…私に至っては日頃から虫で凌いでいますからねぇ、問題はありません。

では、ライラ様を本に戻す研究の為にも…行って参りますね…♪」

「…あ、あぁ。
それなら、良いんだ。
気を付けてな…」








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