捻れた本

□千夜と一夜とランプと王
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これはねじ曲がったお話。

かくして千と一の命と心を奪った王はランプへと封じられてしまった。

そのランプには本来恋の魔神が封じられていたもので、
彼が外に出るには今まで命と心を奪った数だけ
人の恋心を叶えねばならない…という事だったのだが。


「ケッ、お笑い草だな、最後の最後に女を信じた結果がこれなんてよ…!
あぁ、もう知るか。
知った事か!
恋だろうが愛だろうが不貞だろうが、何だって好きにすりゃぁいいじゃねぇかっての!ケッ


思いきり、(元)王はグレていた。

「あらあらこんな所にランプが…」
などと
最初の一人がそんなランプを拾ったものだからさぁ大変。

たちまち現れた魔神に人間は腰を抜かす。
魔神はとりあえず人間に
自分の事を話してきかせた

・・・

「と、いう事は…
あなたは私の恋の望みを叶えてくれるのですね?」
「あぁ、まぁそういうこったな」
「で、では是非とも聞いて欲しい願いがあるのです」
「…」
拾った人間は憂いを帯びた鳶色の瞳の女であった。
その瞳は、かつて魔神が心底惚れ込んだ娘に良く似ているではないか…

「いいぜ、
お前の願い、俺様が叶えてやろう…」
「本当ですか!
…え?」
歓喜の笑みを浮かべる娘の頬に魔神は妖しく指で触れる

「恋よりも甘美な、最高の悦楽を与えてやるよ…」
妖艶に微笑む魔神だが
その心は吹っ切れていたようだった。

そう…
恋を叶えて解放されるなんて余裕だろう。
それよりもこんな目に合わされたんだから

少しくらい美味しい思いをしても構わないじゃあないか。

もうヤケだ。
恋仲がいようと知らん。
逆に浮気しまくってやんよ!!と。

「Σえ!?あの…あの!?uU」
「いいから身を委ねな…」
「あ…」

街角に移る影が二つに折り重なる。
もとより魔神は好きものではあった為に
こんな結果は目に見えていたのかもしれない……

しかし目先の欲に溺れる魔神は気付きはしない

今自分がしでかした事で
ランプから出られるまでの道のりが、
またひとつ遠のいた事に……

さぁ、彼が解放されるのはいつのことやら。

残る数は千と二人…。

※ちなみに最初の一人には平手打ちをくらって逃げられました





薄暗い話ばかりなので
たまにはダメダメな話を!
多分彼の前に居た魔神はきっちり恋を叶えて解放されたんだと思う
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