捻れた本
□吸血鬼ト学者
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暗い暗い、森の奥にある古城に夜の帳が降りてきた。
この城の主が目覚める時間である…。
戸が軋む音をたて、
乾いた靴音が城内に響く。
階下へと響く足音はついに、城の地下に通じる階段までさしかかった
「レンフィールド、起きているかね?」
ノックの音。
「レンフィールド…?」
叩かれたドアには僅かな隙間が出来る。
「〜♪」
室内に居た男は声に気付かず何かを皿に盛り付けていた。
痩せた体にくせのある白髪、眼下のクマを覆う眼鏡に若干の猫背。
見るからに陰気そうなその男は、背後に大きな影だけが映り、自らを睨んでいる事に気付いていない。
「レンフィールドッ!」
やや苛立った調子の声に、ようやく彼は振り返った。
「おやぁご主人様。いつからそこに?
いやはやすみませんねぇ、只今私個人用の夜食を用意してたところでして…
どうにも夢中になってしまったようだ。
こうも部屋にこもってばかりでは、娯楽は食事くらいしかないですから・・・
ああ、いえ、これは別に不満ではないんですよ。本当に。」
そう言って彼は足を蠢かせる虫を摘み、皿に入れるものだから
姿を現した城主、ヴラドは顔をしかめるしかなかった
「君はまた、そんなものを…」
「そんなお顔をなさらず…美味しいんですよぉ?栄養だってあります.
何より、生命そのものを食らう喜びをくれたのはご主人様ではありませんか」
男はにやにやと笑いながらその皿を…詳細に伝えると気分を害してしまう方もいる為割愛しよう…
「私は遠慮しておこう。
さて、君の食事はさて置きだ…
どうだね?研究の成果は」
「あぁ、ハイハイ。そちらでしたらあのように!!」
レンフィールドは研究の事を聞かれ、上機嫌になった。
その場に皿を置くと、主の手を掴み(それも先程虫を持った手で!!)引っ張るものだから
再びヴラドは顔をしかめるのだった。