夜の本

□蛸と人魚
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蛸は幼い人魚の身体を絡め取ると、

「さあお待ちかね、仕込みの時間だ…」
と、耳元で囁きかけた。
これまで料理人に恐ろしい目にあわされてきた人魚は
そんなただの囁きだけでも恐ろしく感じ、
体を震わし
目をぎゅっと閉じる

閉じた目からは再び、透き通った涙が頬を伝い落ちていく…

「ハハ…怖いかい?…まぁ、無理もないよねぇ。
安心しろって言うのも野暮な話だし…

けど、今回はいつもとは違うんだよ。

刻んだりはしないからね…
そういう意味では安心していいよ。」

囁きかける蛸の言葉の意味がいまいち把握出来ず、
人魚は濡れた瞳で不安気に蛸を見た。

「そうだねぇ、
単刀直入にいうと…
今日は君に子供を作って貰おうかと思ってるんだよ」

「……?」

「わからないかい?…無理もないかな」
蛸は人魚の顎に手を添え、言う

「人魚の肉は言わずとしれた至高の食材。
料理人の私としてもお気に入りの…ね。
だからって、いつも切られてばかりじゃ君も辛いだろう?

だから今度の料理は君の代わりに…

いやらしく蛸の触手が人魚の体を這い始める

粘液を帯び、ぬるりとした腕の不快な感触に人魚は身震いをした…

「君に子供を産ませて…
それをそっくり料理してしまおうって訳さ。

君が両性で助かったよ。
これで色々と料理のバリエーションが増えるって訳で…

っこらこら、暴れるんじゃない」

「…っ!!」

無垢な人魚の子も、自らの身に迫る危機を本能的に感じとったのだろうか…

幼い人魚は体を必死に捩る。
しかし…もがけばもがくほどに…
蛸の触手に締め付けられ、人魚の子は苦悶の表情を浮かべることとなった。

何度も力無く跳ねる身体を絡み取っていく蛸の触手…

腕に、首に、尻尾に、漆黒の触手がまとわりつく…

「全く…ほんとに活きのいい子だねぇ、君は?

まぁ、さ…
さっき言ったことは上手くいくか正直わからないんだけど…
何事もやってみないと。」
余った触手たちは暫くの間、無垢な人魚の体を弄んでいたが…

ついに触手が、

その魚の身体に残る生殖器へと触れる

「Σ…ッ!」

びくりと人魚の体が跳ねる

「おや、やっぱり感覚はあるのかい?

そうだよ、ここにね…赤ちゃんの素を入れるのさ。
なぁに私も君も水妖なのだから…なんとかなるよ多分」

話ながら、蛸の生殖腕が人魚のそこへ
つぷりと

ゆっくり
じっくりと入り込んでいく。
料理の為とは言ったものの
好色なこの料理人は行為自体も楽しんでいるらしく、
わざと焦らしているようだった。
「…っ……!」

狭く、本来ならそのようなものを受け入れる場所ではないそこに入れられた腕は一本。それもまだ先端。

ただそれだけで人魚はつらそうな表情を浮かべ、涙が幾筋も伝い落ちる。

「ハハ…いい表情だよ、本当。
まだ先端だよ?
狭いからねぇ、これからが大変だねぇ…」
クスクスと笑い、明らかに楽しんでいる様の蛸はさらに深く腕を潜らせる。
そして悪戯に先端を蠢かせてみる

「〜〜〜ッ!!!」
刺激が強すぎたのだろう。
人魚の口は悲鳴を上げるそれだった。

「あぁ、ごめんごめん。
痛かったかな。
それとも…?」


中を押し開き、入り込む腕の感覚に、人魚の体は何度も痙攣するかのように跳ねる。

「まぁ、せっかくこんな事をしてる訳だし…

好きだよ、とか
愛してる。とか
囁くべきかい?


アハハハ、返事をする余裕も無いか」

痛みと未知の感覚に体を震わす人魚の子


瞳からはもう何度目かわからない涙が溢れていた。

苦しげに乱れた呼吸をしながら
何度も体を跳ねさせ
水から上げられた為に未だ濡れたままの柔らかな髪は体にしっとりと
張り付き…

「フフ…
参ったね、これは」

そんな姿を目の当たりにすれば
嗜虐心は更に掻き立てられるというもの。
あくまでも今回の目的は妊娠。
故に蛸は先程まで焦らしながらも母体を壊さないように扱っていたが…
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