太陽ノ教団

□ベツノキオク2
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施設内に警報が鳴り響く
研究員達が非難し
無人となった廊下を銀色の巨大な犬が駆け抜けていく。
無人の廊下を抜け
施設の出口までは後少しだった。

「!!」

獣の横を麻酔銃の弾丸が掠める

出入り口前には臭気で獲物に感づかれない様に処理を施した装備で固めた
施設の警備員達が集結していた。

「撃て!!博士には当てるなよ」
指揮官が命令すると同時に
各所から銃弾が降り注いだ。
初弾を避ければ次の弾丸に被弾し
その次を良けれたとしてもそのまた次までは避けられるかどうか……

実に的確な連携射撃だった。
これでは確実にどれかは着弾するだろう…

勿論、避ければ…の話だが…


獣は二股に裂けた鋼の長い尾で、弾丸を弾き、跳弾させる。
僅かに軌道を逸らす
ただそれだけで充分に身は守れた。

…なるほど、便利な力だ

実戦で使うのは初めてだったが
問題は無かったようだ


跳弾した弾丸に
撃ち方の一名が被弾する

獣の心が痛む事はない…
彼等はこうなる事を覚悟したうえでここにいる。
そんな人間に心を痛ませるだけ面倒だ。

獣は自らの能力に慢心していたのだろう。
ゆえに予想もしなかった。

負傷した一名が、実に短気な人間で
激昂に身をまかせ、指揮官の命令など無視し

獣のくわえる人質目掛けて発砲をするなど…

「こんの……化け物がァァ!!!」
「おい、よせ!!!その先には…!!」
「…!!!」

獣の抵抗に
静まり返っていた空間…
そこへ再度、一発の銃声が轟いた。


獣より、鮮血が滴り落ちる、
その血は獣の片目より流れ出ていた

咄嗟に人質を標的からそらす際
誤って負傷してしまったのだ。
幸か不幸か
その激痛は麻酔の効果を薄れさせてくれた…


これで、おあいこか…


獣は弾丸を放った人間を睨み、口の端を吊り上げると

次の一斉射撃が来るより前に

人垣を飛び越え施設の外へと
向かって行った…
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