太陽ノ教団

□ベツノキオクノ裏側
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偽りじゃ無い記憶。

灰色の思い出。

昔…僕達は良く、かくれんぼやおにごっこをして遊んでいた。

ナインは鼻が良くきくから、僕をすぐに見つけられる

僕は耳がいいから
近付くナインに気付いて逃げられる


それでも
いつも足の遅い僕が
簡単に捕まって遊びは終わってしまう。

僕がおにになると
簡単にナインは捕まえられない。
それを知ってるからナインは
わざと遅く走る。


今までは、その優しさが嬉しかった

でも、今では

その優しさがつらい。


どうして君はそんなに早く走れるの?

どうして僕は君みたいにはなれないの?

君は強くて
僕は弱い…

弱い僕が嫌いだ。

強い君が嫌いだ。

僕を撫でる手も
不器用な返事も
あったかい腕も
嫌いだ…


昔、君が僕を守るって誓ってくれた約束なんて…
大っ嫌い!!


だから、あの時…
僕は安心していたんだ。
処理場へ行ったら

君も僕も
みんな同じ
平等な場所にいけるって
安心していたんだ。


まあ…やっぱり、そんな都合良くいくわけないけどね(笑)

そのリストに君は居なかった。

それでも
もう君に劣等感を感じずに済むと思ったら楽になれたんだよ。

初めて、
おにごっこで君から逃げ切れたと思っていたんだよ。


灰色の記憶の中
灰色のユメの中…

僕は追いかける君を引き離して

遠くまで
ずっとずっと遠くまで
走っていく。

先には崖がある。
それは行き止まりなんかじゃない。

そこから飛び降りれば

僕は二度と君には捕まらないだろう。

僕は中空に身を放り出した。

コレデ 解放 サレル




筈だったのに……
僕の手が誰かに捕まれた…


「つかまえた」



そこで僕は
灰色の夢から目を覚ました……


薄暗い
古い倉庫の中

目の前には獣の君の後ろ姿があった………


              


                   


                  続く

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