太陽ノ教団

□キオク
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あれはいつの日の事だろう。

その日、僕はお花畑を見てみたいと、お父さんに我が儘を言った。

お父さんは優しい人。

他のお父さんはみんな怖いけれど
この人だけは僕に酷いことをしなかった。

でも、お花畑が見たいなんて…
"ジッケン"に何にも関係無いことだ。
きっとお父さんでも叱るだろう。

手が、振り上げられた…

僕はとっさに謝って
目を閉じる。

けれど、どこも痛くなかった。

不思議に思って目を開くと、お父さんの暖かい手が、僕の頭を撫でている。

「よし…みんなには内緒だぞ。」

僕はその時、とてもとても嬉しかった。

友達の9番と遊ぶ時よりも、はしゃいだんじゃないかな。

前に本で見せてもらったお話みたいに

一面真っ白なお花畑が、とても綺麗だった。

「あんまり走ると転ぶぞ」
言われた通り僕は転んでしまったり

「ほら、こうすると
眺めがいいだろう?」
だっこされて
綺麗な風景を見渡したり

「ハハ、似合ってるか?」
うまく作れなくて
ぐちゃぐちゃになっちゃった花冠をかぶってもらったり。

その事で僕が落ち込んでいたら
「私はこれぐらいしか出来ないよ」
そう言って、一輪の花を僕の髪にさしてくれたり…

「似合ってるよ」

そう言われて
僕は男の子だから恥ずかしいけど、とても嬉しくなったりした
素敵な思い出の詰まった夢みたいなあの日…。

僕は、そんな日々を

優しいお父さんを思い出していた。

それは僕の大切な大切な思い出の宝物。

この宝物があれば僕はシアワセ
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