太陽ノ教団

□太陽の教会〜番外〜
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〜彼の視界には、
紅蓮の炎が広がっていた。〜


焼ける

焼ける

炎が音をたて

全てを焼き尽くそうとしている。

"彼"は、疼く傷口を抑えながらゆっくりと起き上がった。

そこには踊る炎以外、何も残されてはいない。

そして、誰も残ってはいなかった。

彼は辺りを見渡すと、
ふらつく足取りで、炎に包まれる教会を後にする。


道中、いくつもの
村人の屍を見た。

そこに彼の探す者は居なかった。
彼は更に足を進める。

嗚呼、彼の腹部から滴り地に落ちる血液は
まるで童話のヘンゼルとグレーテルの道標のようではないか。

その赤黒い道導が
オレンジ色に照らされる大地に、点々と着けられていく。


「……」

彼が立ち止まったのは
村のはずれの一軒の家。
朽ちたそこに、彼の探す人物は居なかった。

しかし…

「おじさん…!!!」

「……そこにいるのは…ダニエル君かい…?」

彼…ダニエルは
倒壊した建物の下敷きになった人物に気付き、そばへと駆け寄る。
燃え盛ろうとする炎も厭わずに。

そこに居たのはゴルドベルク神父の父親だった。
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