伽話

□胡瓜黙示録カッパ
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その日は水虎の48匹の子分の給料日。
もはや私有地と貸している竜宮城の遊戯場にて
48匹の子河童達は整列し
給料である胡瓜を水虎から手渡されるのを待っていた。


「やーやー諸君。
今月も一月、お疲れ様であります♪」
そこへガラガラと音をたてて、
布を被せた荷車を引いた水虎が登場した。

「さあさあ皆お待ちかねの、お給料であります!
じゃんじゃかじゃーん!!」
荷車を覆っていた布が取り払われた!

「…!」

子河童達は息を飲んだ
その荷車に搭載された給料はざっと
三千キュウリ!!

彼等の1日の日当は3胡瓜!!

仮に30日働いたとして一月90キュウリ!!
その給料を48匹分に変えたのが4320キュウリ!!

二千…いや、三千…
荷車に乗ったキュウリの数はそれを遥かに凌駕しているっ!!
『(ごくり…)』

「はいはい名前を呼ばれたら取りにくるでありますよー」

「ガワッパ!」
「クェ」

「ガタロウ」
「くぇっ」

「カワエロ」
「クェー」
名前を呼ばれた子河童が次々と胡瓜を受け取り
荷車のキュウリははけていく。
しかし…

「おやぁ?
皆そのお目目はどうしたでありますか」
そう、彼等の視線は荷車に残された胡瓜に注がれていた。

予想通りの反応に水虎はほくそ笑む。
「ふっふっふ、諸君!この残された胡瓜が欲しいでありますか?


『くぇー!』
子河童一同は答える
「宜しい宜しい。いい返事であります!!
実はこの胡瓜、
チミ達の手に渡るチャンスがあるのであります」

『くぇ!?クェー!!』
「まずは聞くであります!!」
水虎の言葉にざわめきたつ子河童達が静まり返る。

その反応に水虎はうんうん、素直で宜しい!!と頷きながら
話始めた

「今回は、上司と部下の関係をより一層深くする為に
ある遊びを企画したのであります!

名付けてぇ…
胡瓜をかけての仁義無き決闘!

the☆サイコロころころフェスティバルゥー!!」

イェーイと一人盛り上がる水虎と
唐突な前フリにわたつく子河童

「ノリが悪ーい!」『Σ!!
ク…クェーー☆』
そして無理に盛り上げる子河童達

「オーケーオーケー。
そのノリが大事なのであります!!
さぁてルールは簡単っ
胡瓜がもっと欲しい胡瓜ジャンキーは水虎とサイコロ勝負をするだけであります!!
まずぅ、
お互いにサイコロを振るであります。

それで出た目が水虎より大きかったら勝ちであります!!
勝てば出目の差だけ胡瓜がもらえてぇ!

負ければ出目の差だけ没収!!

引き分けは振り直しであります。

例えばサイコロをふって6を出したとするでありますな。

そこに水虎がサイコロをふって1を出したとしたら、水虎の負け!!
六から一引いた五本の胡瓜が手に入る訳であります。

ネッ、簡単でしょォ?」


「くぇ?」「くえー」
子河童一同は互いに顔を見合わせながらおさらいし、納得したようだ。

「勝負は参加者と水虎で一気にやっちゃうであります!

きっかり48個!用意しちゃったでありますからっ☆
見てこれ!」水虎は箱から賽子を取り出した。

「勿論乗る乗らないは自由であります。
しかぁし!この1ヶ月、汗水垂らして必死に働いた結果が胡瓜30本で満足出来るでありますか?
もっとドドーンといただきたいとは思わないでありますか!?」

「…!!」

「そこでこのサイコロ勝負!!
さ、どうするでありますか?」


「……」
子河童達は一様に見合わせ、
そして…

『くぇ!!』
満場一致でその賭けに乗ったのだ。

彼等にサイコロが配られ



サイコロ勝負の幕が

開くっ!!
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