捻れた本

□狼のなぞなぞ
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「おい
なぁ、おいってば!」
古城の一室
先程から一つの物事に集中しているヴラドに対し、ロボはしつこく呼びかける。
あまりのしつこさに集中力が途切れ
苛立たしげにヴラドは顔を上げた。
「一体何だと言うのだ…騒がしい…」
「なぁ何やってるんだ?」
ロボは好機の眼差しで、ヴラドが手に持っているものを見る
「これか?これは知恵の輪と言うものだ」
「本とは違うのか」
「大いに違う。
わかりやすく言っておこう、本は読むものだが、これは考えて、工夫をして解くものだ。」
「ふーん」

問いに答え、ヴラドは再び知恵の輪に挑戦する。
しかし、思いの外難しいようで手間取っていた。

「取れないのか?」
「…あぁ」
素直に答えるのが癪で、ヴラドは素っ気ない返事を返した。
しかし、傍らの狼男は
頼もしい笑みを見せると言った。
「よし、俺にまかせろ!外してやる!」
「君に…?
ふ、いいだろう。
やれるものならやってみるがいい」
ヴラドはロボに知恵の輪を手渡すと、念のため、注意をした。
「いいか、"知恵"の輪だぞ。しっかりと考えて解くんだからな?」
「おう、まかせろ!
ガッコウとやらに行って俺は賢くなった!」
「そうか…」
ドイル殿…苦労しているのだろうな…。
この狼男に懐かれてしまった教師の友人を思うと胸が苦しくなった。

「見ろ、俺のインテリジェンスっぷり!」

賢さアピールか知らんが横文字まで使ってるよ…
「行くぜ!!」
ロボがガッと力強く知恵の輪を握り締めた時
嫌な予感がした。
「ま、まてお前!!知恵の輪の説明を忘れたか!!」
慌てて止めようとするが時既に遅く…

「イーーンテーリジェーンス!!!!!」

知恵の輪は
くだけちった

「Σあぁあああ!!」

「見たか、俺のインテリジェンスパワー!!
ん、どうした?
俺が先に解いて悔しかったのか?」

「…馬鹿者…!!
インテリジェンスにパワーは要らん!!!」

涙目で怒られてしまった。





ちなみに後日

「おいヴラド!!
今度こそ頭使って知恵の輪を解けるようになったぞ!!」

懲りずに人狼が現れた

「ほう…それはどういうものかね?」

「てこの原理だ!
これで知恵の輪を外す力も最小限ですむ。
どうだ、賢いだろ!!」

「てこの力も使わんでいい!」

その日もまた、城の静寂は怒号でやぶられた。
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