捻れた本

□朝食時に思い浮かぶこと
1ページ/2ページ

それは平凡な朝の風景

「あ」
声を上げたのはカンダタ。
彼はうっかり朝食のバタートーストを床に落としてしまった。

「あぁっ、何やってんですか勿体無いっ」
向かい側に座っていた男、バランは無残に落下したトーストを見る

「考え事をしてたら、うっかり落としちゃった。」
「食事中の時くらい、食事に集中しましょうよ。あーぁ、バターの面が下になってら。」

「3秒以内なら行けるのではないか?」
口を挟んだのはそれを端から見ていたシェイドだ。
「Σいやいやいや、バターの面が下だから!uU
モロアウトだよ。とっくに三秒も過ぎてるからね!?」
「バタートーストってバターの面が重いから、そっちが下になっちゃうよね」

「…旦那様も、そんな分析良いから拾うだけ拾いましょうよ」
「うん、そうだね。」
カンダタは屈んで落としたトーストを拾った。
そして、おもむろにバランに尋ねた。
「ねぇ、バラン君。
必ずバターが下になるって、何かに似てないかい?」
「へ?何ですか急に。
必ず下にねぇ…
あぁ、猫とか?必ず足が下になるでしょうし」

「そう、それだよ。
じゃあ…
その猫の背中にバタートーストが上になるようにくくりつけて落としたらどうなるのかな」
「動物愛護団体に訴えられるんじゃないすか」
「そうだよね。
でも、そこは置いといて。」
「…?」
バランは少し考えて見る。どう考えても猫が着地をするとしか思えない。「旦那様は一体何が言いたいんで?」

「うん、発想の遊びだよ。
猫もトーストも今の言葉の中では「必ずどちらかが下になる」んだよね。
じゃあ猫は足が下じゃないといけないし、
トーストもバターが下じゃないといけない。
どちらが下になってもそこには有り得ない結果が残るとしたら…」

「残るとしたら…?」

「互いに下になろうと、回転し続けるんじゃないかな。」

「回転!?
食事中になんちゅうパラドックスを持ち出すんですか…」

「ね、理論ではこうなるよね?
ある意味無限のエネルギーかもね。」
そう言ってカンダタは拾い上げたトーストを台所の流しに持っていった
「ハハ…ないない。
って旦那様ぁぁ!
トーストは水で洗わんでもいいの!!しゃびしゃびになっちゃうっ」

慌ててバランはそれを追いかける事となる。

残されたシェイドはと言うと…
「怖っ!!」
半永久的に回転する猫の図に恐怖を覚えたとか。

おわり☆
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ