夜の本

□野鎌と男
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「その人」が痙攣し終え、動きを止めた瞬間…

「俺」の中には抗いがたい快感が渦巻いた

ぐるぐると
ぐるぐると…
ぐるぐると…ッ!

悦びと悲しみが混ざり合って
絶望と希望がとけあって
俺はひとしきり笑ったあと

彼の切り傷から溢れ出る深紅の体液をすくいとり

一舐めしてから

体にぐるぐると塗りつけた

「あぁ…っ
はぁ…っ」
思わず喘ぎ声が零れた
ぞくぞくと体が震えた
彼の中に流れていたものが
今自分に…

ああ まるで

彼に包まれてるような…

想像すればする程に呼吸が乱れる

愛しい人が何で動かなくて
血を流してるのか…
それは全て自分のせいだと思えば思うほど…思えば思うほどに!!
ある場所が反応を見せ、主張してしまう
「フフフ…っ…ぁ…嗚呼…っ」

少し離れた所で彼が俺を見ている
切り離された彼の頭が虚ろな目で俺の痴態を見つめている


それだけでもう逝ってしまいそうだ

涙を流しながら悦びに身を委ね思わず痙攣しそうになる体を抱き締め鎮めた後にもう一度両の手を見る
先程彼に触れ赤く染まった両の腕
赤いのはまさしく彼のもの…

「あ…っ」

その手で己の主張する部位に触れただけで体が反らされ
声が上がる

己の手でそれを抜きながら
彼の最後を思い浮かべる
たった一瞬
彼の体の中に入り込んだ自分の刃を想像する
暖かい肉の感触を…
「あぁ…好きだよ…好きだ…好き…っ

好き…好き…好きぃっ!!

愛してるよ…!!!」

俺だけの人!
もういない人!
俺のせいでいなくなった人!
血だけでは満足出来ない…
俺はその場に倒れていた彼を仰向けにすると
衣服を乱して、まだ硬直の始まっていないその部分に舌を這わし味わいながらくわえてみる

自らのそれを抜くことも忘れず…
その場にはぴちゃぴちゃと水音が響き続ける


これ以上は自分が先に達してしまいそうになり
濡らした彼のそれを己の蕾にあてがい、
腰を沈めれば

「ッ!!!
あ…ああぁ…っ
凄……いぃ…ッ」

彼の頭が見てる前で髪を振り乱し何度も腰を振った

もう血だけでは満足が出来ず

動かぬ躯の腹を裂き
彼のはらわたを引きずり出しては体に巻きつけた

柔らかくまだ暖かい臓腑に包まれ
思わず俺は体をよじり、喘いだ。

ぐにゅりと自信に巻きつける、
「あ…はぁあ」
更にぬるついたそれを手で扱きながら
胸の突起を弄ってみる
「くぅ……ん」
そのまま別の臓腑を引きずり出し口にくわえて甘噛みして軽く吸い付いて
乱れて、乱れて…

欲望にまかせて彼を愛して壊した。

徐々に人の形をなくし彼ですらなくなっていく彼…

大切なものが壊れてゆく…

自らを扱く手の動きを早めていく

あぁ…あぁ…あたまらない…っ

言葉に出来ない思いが次々に溢れ出る

「〇〇っ…〇〇ぅ…愛してたよ…大好きだったよ…!!」

彼だったものの名前を何度も呼び

呼び、呼び続けて

俺は果てた。
彼の最後のように体を痙攣させて。

彼の体と俺の体に浅ましい俺の欲望の残骸が散った

「はぁ…っはぁ…っ…はぁ…
…は…は…ハ…ハハ」

体に彼のものが入ったままで…

この行為の締めくくりを俺は始める
片腕を刃に変え、
今までに愛し、刻んできた人の傷跡に
彼の分を加えるのだ
「…ん…」
ず、と体に食い込む己の刃。

なるべく痛く
戒めるようにつらく…
じっくりゆっくりと刃を入れる
「…あぁぁ…あ」
一の文字に刻んだ傷が出来上がる頃には再び俺の身体は反応していた。

全く、我ながらどうしようもない身体だよ。

それを虚ろな目の頭が見つめている…

嗚呼、そんなに見ないでくれ…
恥ずかしいよ…

傷を撫でるのをやめ
俺は彼を引き抜き、彼の頭の元へと這い寄ると
その両の頬に手を添えて深く口付けた

僅かに開いた口の中へ舌を入れ、彼の口内をなぞり…

蛞蝓の性交のように執拗に貪欲に絡めて、
くちづけをやめれば名残惜しげな糸

そしてそのまま深く頭を抱き締める

もういない彼
もういない君

もういない…
嗚呼

もう彼は居ないのだ…
再度口付けをした時


どさりと何かが落ちる音がした。
ふと見れば

「な…なななな…」
一人の男が俺を見て絶句し
もう一人は
「しまったな…のがま…野鎌のことであったか」
と言う
愛する人との時間を邪魔された俺は
彼等を睨んだ


ブログから持ってきました第一段!!
野鎌は愛しくなるとつい、やっちゃうんだ!
SではなくMなんです。
自分のせいで誰かが壊れたなんて思うとぞくぞくする上に
それを忘れないように自分に傷を刻み込む度にエクスタスィーを覚える変態ナンデース。
そんな変態妖怪ですんで
被害者はたまったもんじゃないよね!!

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