薄桜鬼
□舞姫
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土方:
「夏祭りの舞姫にっ」
斎藤:
「ち、千鶴が、」
藤堂:
「選ばれただとぉー?!」
千鶴:
「ええーっ!?」
桜の木は、
すっかり緑の葉を生やし、
その葉々は
初夏を思わす
少し湿った風に
揺らされている。
日差しもだいぶ強くなり
新選組屯所の縁側には
ちりん、ちりんと
涼しげな音を立てる
風鈴が、
もうすでにかけられており、
雲一つない
青く晴れ渡った空を
まるで泳いでいるよう。
そんな皐月の
ある日のこと。
突然、
門番をしていた隊士が
土方の部屋へ現れた。
「副長、六番組の芦田です。」
土方:
「どうした?入れ。」
芦田:
「副長、なにやら
若い娘が新選組幹部に
お目通し願いたいと・・・。」
土方:
「若い娘だぁ?」
目を通していた
書状からあげた顔は、
眉間に皺が寄った
不機嫌そのものだった。
芦田:
「へ・・・へい。
どうしやしょう?」
土方:
「どんな奴だ」
芦田:
「きちんとした
身なりの娘です。
そこらの町娘というよりかは
どっかの姫さんのようで・・
もう一人は
芸者のような・・・」
土方:
「・・・・広間へ通せ。」
芦田:
「へっ?いいんですかい?」
土方は
はあ、とため息をつき、
土方:
「見当はついてる。」
芦田:
「へ、へぇ、わかりやした。」
******
土方:
「何しに来た」
腕を組み、
威嚇するような声で
土方はその来客者に言う。
広間には、
日中の巡査組ではない
沖田、近藤、土方、
斎藤、藤堂の順で5人が
その来客者を囲むように
座っている。
そこへ・・・
千鶴:
「失礼いたします。
お茶をお持ちしま・・・・! 」
客人を見た千鶴は
目を見開く。
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