薄桜鬼

□湯花
1ページ/2ページ






「はあ、極楽極楽っ」




皆が寝静まった
新選組屯所の湯殿。



私は父様を探すため、
女である正体を隠して
ここ、新選組で
生活をしている。


私が女であることを
知っているのは
新選組幹部の方々だけ。


そのため、
一般の隊士の方々とは
刻をずらして
入浴するようにと
言われているおり、

毎日皆が寝静まった夜中に
一人こっそりと
入らせてもらっている。







新選組の湯殿は、
普段、男性の隊士が
いっぺんに八人も
入れてしまうほど広いので、

初めの頃は
一人で入る事に、
気後れしてしまっていたが

今ではすっかり慣れて、
毎日この刻を
楽しみにしている。








湯船に体を沈め、
ふーっと伸びをする。


普段、袴を着て
一般の隊士の方々を
避けながら

父様を探しに
京の町を歩き回る。

女だと知られないように
気を配らなければならないし、

日中はほとんど
気が抜けない。


そんな私が唯一、
伸び伸びとできるのが
この夜中の湯殿である。


隊士の方々は
夜半に部屋から出る事は
原則禁じられているため、
ここに男人が来る事は
滅多なことがなければない。


だから私は、
気を抜きすぎて
しまったのだろうか・・・







すっかり体が温まり、
そろそろ出ようと
湯船から体を出した瞬間。







−ガラッ−






脱衣場と湯殿を仕切る
冊子が開いた。




そして
目の前に現れたのは・・・





.

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ