ペンライト

□しましま靴下
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しましま靴下









始めて買ったおしゃれ靴下。少し派手かと考えたけど、ずっとはきたいって思っていました。魔法使いになれる気がしました。白、赤、白、赤、おめでたいしましま靴下。思いきって日曜日、みんなと遊びに行く日にはいて行きました。オーバーオールに黄色いブーツ、しましまは綺麗に映えています。ワクワクしながら待ち合わせ場所に行きました。みんなもう待ってました。手を振りながら小走りに駆け寄ります。でも、なんでだかみんなの顔は曇りました。ねぇ、その格好すごく変だよ、子供みたい、靴下が合わないよ、可愛くないよ。口々にに言われました。
とても悲しくなって、私はそのまま家に帰りました。寂しくて、悔しくて、靴下を脱いでたくさん泣きました。私が可愛いと思うのは、みんな可愛くないと言うんだ。私は可愛くないんだ。たくさん泣きました。泣くのに疲れて鼻をすすっていると、脱ぎ捨てたしましま靴下が、もぞもぞと動き出しました。びっくりして涙も鼻水も止まってるうち、靴下からしましま猫の尻尾が出てきたのです。そのままもぞもぞと続いて、後ろ足、おしり、お腹、前足、とうとう猫は顔を出し、ぷるぷると体を振るわせています。
そして後ろ足で立ち上がり、人のように二本足でこちらに歩みよりました。「大丈夫?泣かないで、君は素敵なんだよ。」猫は言いました。「僕は身体中しましまだけど、そんな自分が大好きなんだ。」「みんなに笑われたりしないの?」「みんなそれぞれ面白い柄だから、誰も他の猫を笑ったりなんかしないさ。君を笑ったのは、みんな自分の柄がわからないからだよ。」言いながらしましま猫は毛繕いを始めた。「みんな自分は真っ白で、美しい毛並みだと思ってるんだ。」
しましま猫は、しましま靴下を手繰り寄せて口のところを広げています。猫の毛が少しついています。「君はしましまでいいじゃないか。水玉だって、ハートだって、お星さまも素敵だね。」もぞもぞと猫は、後ろ足を靴下の中に、体がすっぽり、首から上を出したまま、「僕は君がしましまでいられますようにって、ずっと祈っているよ。」と言って、靴下の中に帰っていきました。おそるおそる靴下を拾い、もう一度足に通します。猫の毛だらけです。でも、またはいて出掛けてみようと思いました。

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