06/03の日記

23:23
ザンツナ♀
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コン、コン

ガラスに何かが当たったような音に、眠りに落ちかけていた綱吉の意識はゆっくり浮上した。

「・・・夢?」

微睡みの中で聞いた音だ。現実ではなかったのかも、と口から零れた呟きを打ち消すかのように、窓の方から音が響く。

コン、コン

夢じゃない。
綱吉は慌てて起き上がり、窓へと向かう。
カーテンを勢いよく開くと、月の無い漆黒の夜空を背に佇む大きな影。
顔など見えずとも、綱吉は迷うことなく窓を開けてその影に飛びついた。

「ザンザス!」

「久しぶりだな、綱吉」

その影―ザンザスは、しっかりと綱吉の小さな身体を抱きとめ、そして優しく抱きしめた。

「どうしたの?いつ日本に?あ、仕事は?忙しいって言ってなかった?」

綱吉の矢継ぎ早な質問には答えず、そっと身体を離したザンザスはその場に片膝をついた。
ザンザス?と小首を傾げる綱吉の左手を取り、フワリとその甲に唇を押し当てる。

「ざ、ざんざすっ?」

綱吉は真っ赤になって慌てたものの、ザンザスに至極真剣な表情で見つめられ、息を飲んでその瞳を見つめ返した。
見つめ合ったまま、ザンザスはゆっくりとポケットから何かを取り出し、綱吉の指にそれを嵌める。

「ザン、ザス・・・これ」

自分の左手、薬指に光る淡い輝きに、綱吉は言葉が出てこない。
ほのかに桜色に輝く石は、まだ子どもと大人の狭間を行き来する綱吉にぴったりの、可愛らしさと華麗さを兼ね備えていた。

「予約だ」

「予約?」

「テメーが二十歳になったら本物の結婚指輪をくれてやる。だから、その時まで、その指空けとけ」

「・・・うんっ」

頷く綱吉の大きな瞳から、涙が溢れ出す。ザンザスはそれを優しく指で拭うと、綱吉の唇に自分のそれを重ね合わせた。

プロポーズ本番まで、残り五年のカウントダウンが今、始まった――




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