03/14の日記

17:31
ザンツナ(♂♀どっちでも)
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俺達は、今日、卒業します。


卒業式は終わったものの、名残惜しいのか誰一人帰ろうとはせず、教室の中はまだザワついている。
泣いてしまった友達を宥めている女子たち。教室の隅で号泣している、絶対に泣かないと豪語していたヤツ。

それらを眺めながら、俺も少しだけ寂しいような物悲しいような、センチメンタルといえばいいのだろうか、そんな気分になってしまった。
決して、楽しい事ばかりの学校生活ではなかったのに、不思議だと思う。


「よーし!みんなでカラオケ行くぞ!」


誰かの声が響き、教室の彼方此方から賛同があがる。
どうしようかと悩む俺の肩を、誰かが叩いた。


「俺達も行こうぜ、ツナ」
「お待たせしてしまってすみません、10代目」


さっきまで、最後だからとクラスメイトに取り囲まれていた人気者2人の笑顔に、俺も笑って頷く。

クラスメイト達と歩く廊下、階段、下駄箱、玄関。
毎日見てきたそれらすべてが、今日で最後だと思うと少し感慨深い。
まぁ俺は、“特に”かもしれないけど・・・。


「あ・・・」


正門の向こう、一瞬だけ見えた、鮮やかな色。
来てくれたんだ。忙しいのに・・・。


「お。ツナ、迎え来てんじゃん」
「じゃあカラオケはパス、ですね」


再び見えた赤い羽根に、山本と獄寺君も気付いたらしい。
2人に頷いて、盛り上がるクラスメイト達に声をかける。


「ごめん。俺、急用出来たから」


みんな元気でね。と手を振り、急いで正門に走り寄った。


「お待たせ」


その腕に抱きつくと、もう片方の手で頭を撫でられた。


「いいのか?」


カラオケはー?だの、行こうぜ!だの、口々に声を掛けてくれるクラスメイトの方を見ながら、優しく問いかけてくれる。
それに首を横に振って答えて、抱きついた腕に力を込めた。


「いいの。俺の優先順位は、ザンザスが一番なんだから。それに・・・」
「それに?」
「今日で終わりじゃないよ。大事な人たちとは、きっと、ずっと繋がっていられるから」
「そうか」


じゃあ行くかと促されて、中学生活最後の帰路を歩き出した。



明日から、今まで当たり前のように毎日会ってた人たちがバラバラになる。

獄寺君は、右腕として俺と同じ道を歩くことを選んでくれた。
山本は、野球の強豪校に推薦が決まった。
京子ちゃんと黒川は、全国でもトップクラスの女子高に2人揃って進学。

でも、繋がりたいと想っていれば、絶対に繋がっていられる。
だって予感がするんだ。またこの並盛で、みんなで笑い合える予感・・・。



そして俺、沢田綱吉は、明日、イタリアに旅立つ。




俺達は、今日、卒業しました。

そしてまた、新たな卒業に向かって、歩き始める。



卒業おめでとう
〜卒業を迎える全ての人と、何かから卒業したことのある全ての人に




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