12/31の日記

20:06
ザンツナ
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小雪のちらつく中、久しぶりの恋人とのデート。
心弾むシチュエーションでありながら、ザンザスの機嫌は下降の一途を辿っている。

その原因というのが

「綱吉」

「綱吉・・・」

「おい、聞いてんのか!綱吉!!」
「え?あ、ごめん。何?」

これだ。

先ほどから、ザンザスの呼びかけに対する綱吉の反応が鈍い。
3回呼びかけて、しかも3回目は声を大きくして、ようやく返事がある。

自分に向き直った綱吉を見下ろして、ザンザスは片眉を上げた。

綱吉の顔の両脇にある、ふわふわモコモコ。
薄いピンク色のそれは、綱吉にとても似合っていて可愛い。
可愛いのだが、非常に気に入らない。

「ごめんね。耳当てしてると、ザンザスの低い声、ちょっと聞こえにくくて・・・」
「なら外せ」
「え、やだ。寒いもん」
両手で耳当てを押さえた綱吉に、ザンザスの眉間の皺が深くなる。

「俺の声が聞こえなくてもいいってんだな?」
「そんなこと言ってないだろ」

だったら、とザンザスは、無理やり綱吉から耳当てを剥ぎ取った。
今まで温もりの中にあった綱吉の耳が、寒風に晒される。

「寒っ!」

身をすくめ、耳当てを取り返そうと伸ばした手は、ザンザスに簡単に捕らえられた。
しかしその手はすぐに離され、そのまま繋いでくれるのかと期待した綱吉は肩透かしをくらう。

「ざ・・・」
「これで文句ねえだろ」

フワリと、両耳に温もりが与えられる。
ザンザスの近くなった顔に、それがザンザスの大きな手に包まれたからだと気付いた綱吉は、ほんのりと頬を染めた。

「綱吉・・・」

ゆっくりと、ザンザスの顔が近付いてくる。
瞳を閉じた綱吉は、胸を弾ませながらも、ザンザスの子どもっぽさに心の中で溜め息を吐いた。


でも、そんなところも大好きだからね。

それもまた、心の中の呟き・・・


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