08/15の日記
14：57
山獄
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朝、教室に入ると、まず探すのは朝日に輝く銀色の髪。大抵は、ツナの前の席に後ろ向きに座ってツナと話している。
俺は、毎日のことなので自然に２人に近付いて挨拶を交わす。たまに姿が見えないときは、さり気なくツナに『あれ、獄寺は？』なんて聞いて所在を確かめる。
授業中は、無意識に獄寺の後姿に目がいく。授業なんて聞いても聞かなくても分からないから、獄寺の背中にじっと熱い視線を送り続ける。
これだけ見つめているんだから、気付いてくれたりしないかなぁとか思ったりするんだけど、当然ながら獄寺が振り向いてくれたことは一度もない。
まぁ、実際に振り向かれたりすると困るんだけど・・・。
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ここまでは、まぁ普通・・・だよな？
だって、獄寺は頭も良くてしっかりしているくせに、どこか抜けてて、危なっかしくて目が離せない。こんなことを本人に言ったら、眉間に皺を寄せて、睨まれて、怒鳴られてしまうのだろうけど。
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一番心配なのは、怪我。その好戦的な性格や目立つ容姿の所為か、獄寺はとても絡まれやすい。その上、売られたケンカは律儀に買っていく性分だから、ちょっと姿が見えないとケンカしていたりする。
ツナが注意したから、最近は大きなケンカはしていないみたいだけど、ふとすると顔や腕に怪我をしてたりする。
前に一度注意をしたら、『こんな怪我ぐらい、どうってことねーだろ。すぐ治る』って言われた。
すぐ治るとかそういう問題じゃないんだって！もったいないだろ？白くてキメ細かくて、ものすごく綺麗な肌なのに、つまんないケンカで傷作るなんて。
だから、獄寺の姿が見えない時は、トイレにでも行くフリをして探す。どこかで喧嘩でもしていようものなら、さっさと終わらせて教室に連れて帰る。『テメーの助けなんか要らねーんだよ』とか『余計なことしてんじゃねーぞ』とか不機嫌そうに言われるけど、獄寺が怪我することを考えたら、そんな文句ぐらい何百回だって聞いてやる。
放課後は、帰っていく獄寺とツナの背中を見送る。ホントは一緒に帰りたいけど、部活があるからそうはいかない。野球に身が入らない、なんてことは流石にないけど、帰りに獄寺がケンカしないかなぁ、と心配することしか出来ないのはちょっと歯痒い。
獄寺が、俺が部活終わるの待っててくれればいいんだけど、なんて無茶な夢をみたりもする。
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これも普通だよな？うん、友達のことを心配するのは、間違ったことじゃない。
獄寺のように、他人――というかツナだけど――のことは馬鹿みたいに気にしても、自分のことは全然気にしない奴なら尚更だ。
誰かが獄寺のことを気にしてやらないと。
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家に帰って、飯も食って風呂も入って、自分の部屋で1人でいる時も、やっぱり獄寺のことを考えてしまう。何もせずにベッドに凭れて天井見上げてたり、パラパラと野球雑誌をめくってたり、バラエティー番組を見るともなく見てたりすると、ふと浮かんでくる獄寺の顔。
ちゃんと飯食ってんのかな、とか、深夜にコンビニでも行って変なヤツらに絡まれたりしてないかな、とか心配してしまう。
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でも、これもやっぱり普通だろ？友達なんだから。
獄寺は１人暮らしだし、飯とか睡眠とかに無頓着なところもあったりするしな。
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たまに、親父に握ってもらった寿司を持って行ったりするんだけど、どうせなら毎日俺が飯作ってやりたいのなー、ってこの前言ったら殴られた。
でも、そのうち絶対に獄寺の家に行って飯をつくってやろうと思う。その為に、親父にガンガン料理を教わらなきゃな。
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先日、ツナが小僧に、『部下達の関係を良く知るのはボスとして当然のことだぞ』と言われていた。
それに関連して、俺には『お前が獄寺をどう思っているのか作文にしてみろ』と言われた。
どう思っているか書け、なんて言われても、普通に友達なんだけど・・・。そう言ったら、 『普通じゃないから言ってるんだぞ。とりあえず、１日のうちで獄寺に関する行動を書き上げてみろ』と返された。
書かないとツナが困るって言うから、一応書いてみたんだけど、何が普通じゃないっつーんだろ？
自分の書いた作文を何回読み直しても、普通のことばかりだと思うんだけどな。
相変わらず、小僧は面白いこと言うのな。
山本の提出した作文を読んだツナが、
普通な訳あるかーっ！！
と叫んだのは言う間でもない。
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山本は、無自覚で獄寺君にラブラブです。っつうか、過保護(笑)
もちろん ごきゅ は、授業中見つめられてるのとか気付いてますよ。だって熱いんだもん、視線が(笑)
早く告白してこいよ、野球バカ。とか思ってるのに、山本はまだ自分の気持ちにすら気付いてないんですよ･･･。早く気付け。
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