ログ置き場
□Invidia
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*ザンツナ高校生パロ
高校2年生になった始業式の朝。クラス替えの掲示を見て、俺は飛び上がるほど喜んだ。というのも、1年のときからずっと憧れて、ずっと好きだったザンザスと同じクラスだったから。
しかも、スクアーロも一緒。スクアーロは1年の時に友達になった奴で、なんと、ザンザスの中学からの友達なのだ。
去年も、スクアーロと一緒に居た時に何度かザンザスが話しかけてきたことがあって(もちろんスクアーロにだけど)、そのたびに俺は大好きなザンザスの顔を間近で見られて、得した気分だった。
これはもしかしたら、ザンザスと仲良くなれるチャンスかもしれない。なんて、都合のいい期待を抱きながら、俺の新学期は始まった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「綱吉、学食行くぜぇ」
「さっさとしろ、綱吉」
「あ、ちょっと待ってよ。ザンザス、スクアーロ」
新学期が始まってから2ヶ月。俺は、スクアーロの友達ということで、ちゃっかりザンザスにも仲良くしてもらっていた。
友達、というにはまだ距離がある気がするけど、話した事もなかった去年に比べれば格段に近付いていると思う。
でも、近付いたことによって、知りたくなかったことに気が付いてしまったのも事実な訳で・・・
「ザンザス、スクアーロ。ここ空いてるよ」
バラバラに席を探していた2人を呼んで、4人掛けのテーブルにトレイを置く。すぐにこっちに気が付いた2人も、テーブルにトレイを置いて座った。
俺の向かい側にスクアーロ、その隣に、ザンザス。
あ、また・・・だ。
この2ヶ月で気付いたこと。それは、ザンザスはスクアーロのことが好きなんだということ。
座る場所ひとつとっても、それが顕著に表れている。
今みたいに、スクアーロが俺の向かいに座ったらザンザスはその隣。スクアーロが俺の隣に座ってたら、ザンザスはスクアーロの向かい側。
それだけじゃない。俺がスクアーロと話していると、ザンザスの視線をよく感じる。それも、ちょっと睨まれている感じの視線。
今だって、スクアーロと俺が一口交換、なんてやってるから、ザンザスの機嫌が悪い。
俺、完全にオジャマ虫なんだよね・・・。
苛立ったようなザンザスの表情に胸が痛くなって、まだ半分も食べていないトレイを手に立ち上がった。
「綱吉?どうしたんだぁ」
「ちょっと、気分悪くて。保健室行ってくるね」
返却口にトレイを返して、食堂を出ようとしたところでスクアーロに呼び止められた。
「大丈夫かぁ?」
「大丈夫だから、スクアーロはご飯食べてて」
「そういう訳にはいかねえだろぉ。俺もついて行くぜぇ」
そう言われて振り向くと、スクアーロの肩越しにザンザスが見えた。座ったまま身体ごとこっちに向いたその顔は、先ほどよりも眉間の皺が深くなっている。
「離してっ!!」
肩に置かれたスクアーロの手を叩き落とす。スクアーロは驚いて何か言おうと口を開きかけたけれど、俺は言葉を待たずに走り去った。
「綱吉っ!?」
スクアーロの声が聞こえたが、止まる訳にはいかない。必死で、屋上まで階段を昇りきった。
「何やってんだろ、俺・・・」
昼休みなのに屋上には誰もいなくて、俺はフェンスの傍まで行って座り込む。
筋違いの、自分勝手な嫉妬心だとは分かっている。ザンザスがスクアーロを好きだろうと、俺がスクアーロにヤキモチを焼く資格なんてない。
俺が一方的に、ザンザスを好きになっただけなのだから・・・。