Novel‐1
□Melty xxx
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「また菓子ばっかり食ってんのか」
突然の、しかも窓からの侵入者にも関わらず、綱吉は驚きも慌てもしない。ただニッコリと笑顔を向けて、いらっしゃい、とだけ恋人に告げた。
こんな風景、あまりにも日常化し過ぎてしまって、『そこ窓だからー!』や『ここ2階なんだけど?』のツッコミは最初の1ヶ月で疲れて止めた。いくら言おうが、この人たちには常識が通用しないんだから仕方がない、とむりやり自分を納得させて、現在の境地に至る。
「だってこのチョコ美味しいんだもん。ザンザスも食べる?」
隣に座ったザンザスに一応訊ねてみる。もちろん、返ってくる答えは予想済みだ。
「んな甘そうなもん食えるか」
「やっぱり」
予想通りの返事に、思わず頬が緩む。こんなやりとりって幸せだなぁ、と思うと、綱吉の頬はますます緩んでいく。
「何にやにやしてやがる」
「にやにやって・・・。幸せを噛みしめてるんじゃん」
「こんなもん食ってるから、エロいことでも考えてんのかと思ったぜ」
ザンザスの指が、綱吉が食べているチョコの箱を軽く叩く。そこに書かれた英語を見て、綱吉の頭に疑問符が浮かんだ。
「・・・なんて意味なの?これ」
「てめぇで考えろ」
これぐらい分からないでどうする。呆れたように言われても、分からないものは分からない。
お菓子の名前なのだから、ザンザスが言うようにエッチな意味な訳ないと思うんだけど・・・。
首を傾げる綱吉を横目に、チョコを1つ取り出す。袋を破り、キューブ型のチョコを摘んだ。
「教えてやろうか」
「うんっ・・・・・・んっっ」
綱吉の口にチョコを押し込み、強引に唇を押し付けた。次第に深くなる口付けに、互いの熱でチョコが溶け出す。甘く、とろけそうな其れを甘受しながら、綱吉は思考までもが溶けていくのを感じた。
「・・・訳分かんない」
長い長い口付けの後、余韻から醒めた綱吉は口を尖らせた。
「それの意味、教えてほしかったんだろ?」
「全然教えてくれてないじゃん」
「身体で教えてやったじゃねえか」
それにしても甘え、と呟きながら、親指で唇の端を拭う。そのまま指を舐めるザンザスを見て、悔しいけれど綱吉の鼓動が再び早くなる。
エロいのは、チョコの名前じゃなくてお前だーっ!!
もちろん、そんなことを口にすれば後に待っている結果は目に見えているので、心の中でだけ突っ込んでおいた綱吉だった。
→あとがき。