デジモン短編

□チョコと冬と恋人達
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バレンタイン。

白い雪に埋もれるようにして立ち尽くす人影があった。

「……ハァ…」

彼女の名は武之内空。
その手には大切な人に渡すためのチョコレート。しかし、その目頭は赤く沈んだ面持ちでいる。

と言うのも大学生である二人は別々のキャンパスであり、授業が終わると同時にすぐさま飛び出し恋人―八神太一の元に向かったのだった。
しかし中学から続く人気は相変わらずで、息を切らしながらたどり着いた空が見たのは部活姿で大勢の人に囲まれる太一だった。

それは実は見慣れた光景でもある。昔からサッカー部のエースで異性、同性、先輩、後輩を問わず慕われているのが『八神太一』という人間なのだ。

そんな人の彼女である事は密かな喜びであり、こういうシーズンにはため息と苦笑、僅かな誇らしさがセットだった。
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