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空と海
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ざぁっ、と心地よい風がふく、この森の中。




オレは辺りを見回しながらある人物を探していたのだが…。



探していたそいつは今ちょうど目の前にいた。





桟橋から座って足だけを海の水に投げ出して、ただ空を眺めていた。




「ティーダ」




オレが呼びかけると、はっとして振り向く。



「なんだ、クラウドかー。びっくりしたッス」



声をかけたのがオレだとわかると安心したようにまた空に目線を戻す。



なんとなくでオレもティーダのとなりに座って空をみた。




「なんかクラウドって、“雲”っていうより“空”って感じッスよね。」



「なんだ、それ?」



突然いいだしたティーダの言葉にちょっと笑ってしまって、ティーダの顔をみる。




…ティーダの、青く澄んだ瞳に吸い寄せられて…。


なんとなく恥ずかしくなって視線を海へと移動させた。




「じゃあ、ティーダは“太陽”より“海”だな。」




「えぇ…?なんでッスか?」




ティーダもまた笑う。



「でも…もしオレが“空”でティーダが“海”なら、
オレ達は一生交わることはないんだな。」




ふと、そう思った。



オレらは違う世界の住人だし、最終的には帰ってしまうのだから。




「クラウド…言い方がエロいッス…」




「………はぁ?オレは真面目にだな」




「わかってるって!
“寄り添えることはない”って意味ッスよね?」





冗談をいいながらも、ティーダはただ空を見ていた。




「でもクラウド。空と海だって交わることができるんだよ?」




ほら、とティーダが指さす方は、ずぅっと遠くの水平線。



空と海が重なり、一本の長い線になっていた。




「オレらは住む世界が違うから、ここでは確かに繋がれないかもしれない。
でもどこかで…必ずどこかでちゃんと繋がれてるんスよ」




にこっと笑う顔はやはり太陽の笑顔か。



きっとオレはその笑顔に吸い寄せられている…。




「そうだな」






ここじゃない、どこかで。




今も繋がっているような気がする―――










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