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貴方の手で終わらせて
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『シン』を倒して、
でもユウナは死ななくて。


そして『永遠のナギ節』と呼ばれる平和な日々が訪れる。




――それで、いいんだけど…。


一件落着なハズなのに…。





オレを苦しませている問題がふたつ。


一つはオレの後継人,アーロンのこと。



アーロンはユウナレスカとの戦いで死んでしまっている。
てまり,“死人”ってこと。



そしてオレの存在…。



存在していない者。

…祈り子達の、夢。



オレらが『シン』を倒せば祈り子は夢を見るのをやめてしまうということ…。





それでも、スピラをこの死の螺旋から救えるならいいと思ってたんだ。


それが、オレのやるべきことなら―――

























その日。


旅行公司の前でティーダはぼんやりと空を眺めていた。




最近こんな風にぼんやりしていることが多く、いつもアーロンに怒られている。




たぶん今日も怒られるだろうと思っていると、後ろから足音が聞こえてきた。



ほら、な?



と振り向くとそこにはやっぱりアーロンが無表情のままティーダに近づいてきていた。




「なんだよ、おっさん。」



「今日の態度はなんだ。
くらわなくてすむような攻撃を簡単にくらうわ、
攻撃の判断は遅いわ…。
それからずっとぼんやりとしている。」



「油断してたのとか判断遅かったのは悪かったッス。
雰囲気崩したのも悪い…。
でも自分だって油断くらいする時あるだろ?」




戦闘中において、アーロンが油断なんてまずしない。


それはティーダもわかってるはずだが、思わずそう反発してしまう。



どうせ、オレが頭いっぱいいっぱいで考える余裕がないことなんて関係ないのだろう。



そう思っていると、いきなりアーロンに顔をあげさせられた。



「一体なにがあったんだ。
最近のお前ヘンだぞ。」




…まともにアーロンの顔が見れない。



顔をあげさせられたまま目だけをそらすも、

目頭が急に熱くなって一粒二粒と同じだけ熱い雫をこぼした。


「なぜ、泣く。」



アーロンの声は少しだけ戸惑いが混ざっていた。



「…っ…なんでも、ない…っ。」



「…………。」



ずっ、と鼻を啜ったとき、いきなり辺りが暗くなった。



…とくん、と聞こえる居心地のいい音に

あぁ、アーロンに抱きしめられてるんだ。

と気づく。



「なんでもなくないだろう。
なにかあったなら言わないとわからない。」





その優しくてあたたかい腕の中。



アーロンはまるで本当に生きている人のようで。



そう思ったら切なくて…。


また涙が溢れてもうとまらなくなってしまった。




「なんでっ…。どうしてだよ…。」




ティーダはきつく抱きしめているアーロンの腕をはらい、
一歩後ろへひいた。




「どうしてあんたはオレに優しくする?
なんでそんなに気にかける?」




「愚問だな、大事だからに決まってるだろ?
なにより、お前が…。」




「っ…!」




もう、ダメだ。

あふれだした感情がとまらない。





「オレ、アーロンと一緒のトコにいきたかった。
ずっと、ずっと一緒にいたかった…!」





でもアーロンは“死人”
オレは“存在していない”



アーロンは異界にいく。
オレは消えてなくなる。





「それなら、オレを連れていって…?
どうせスピラから消えるなら…。

ねぇ、
いっそアーロンの手でオレを殺して…!」




オレがスピラで死ねば異界にいけるだろう。



もう、涙はとまらない。
心が砕けてしまいそうだ。



フラタニティを出して強く握りしめるティーダ。
その手は濡れていて。



アーロンの顔が悲痛に歪むのがわかった。



心の中で涙をながしているのを見たような気がした。











――スピラに神サマがいるなら…。



ねぇ、




どうしてオレらを普通に出会わせてくれなかったのですか?




ただ、普通でいれば…それでよかったのに―――






大好きだよ、アーロン。




ごめん、ごめんね。


存在してなくて…。



“夢”でごめんなさい―――…。







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