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太陽の光
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――厄介だ。



そう、やっかい。



誰がか?

そりゃ勿論、あの親子。











太陽の光













あいつ、ジェクトはかなり厄介だった。


厄介なことに首を突っ込むわ
厄介なことを引き起こすわ


もうジェクトの存在が厄介だ。

――…でも、

…キライじゃなかった。


ジェクトに息子を頼まれたオレはザナルカンドへと行った。


そしてジェクトの息子、ティーダになつかれるようになるまで暫くかかった。








――今日はあいにくの雨。

まぁ雨となれば気分も沈むワケで。


オレは慣れない手つきで夕飯の支度をしていた。


旅をしていた頃はオレが作っていたからそこまで苦労はしない。

でも食材が違うのが欠点だな。


とか思いつつ、
もうそろそろティーダが学校から帰ってくる頃。


「ただいまー!!!!」


ほら、な。


「ね、ね、アーロンッ!
今日学校でテスト返ってきたんだ!」


「そうか。後で聞こう。
今はとにかく風呂だ。風邪をひくだろう。」


びしょ濡れで帰ってきたので、オレはそう言った。


「え〜!?
でもこれ見てよ!」


ピラ、と、手に握っていた紙を出す。


「あのねぇ、オレ100点とっ……たん…」


ん?


「…うッ…。」


Σ何故泣く!!?


「アー…ロッ…。」


オレはテスト用紙を見た。

あぁなるほど。

テスト用紙は雨によりぐちゃぐちゃ。

先生がつけてくれたであろう赤丸は原形を留めていない。
そう、例えればダイイングメッセージの血文字だ。


「オレッ…!100点…ひっく…。」


あぁ…。
厄介だ…。


子供は厄介だ。
すぐ泣くからな。

いや、コイツが泣き虫なだけか。

――太陽

という名を付けてもらいながら(ジェクトが付けそうな名だな…)なんつー顔をする。

ハァ…
出るものは溜め息ばかりか。


「とにかく風呂に入れ。」


オレは優しくそう言った。

ティーダは、とぼとぼとバスルームへ向う。
その背中があまりにも小さく見えて。
オレはおもわず笑みを溢した。

「ティーダ」


「ん…?」


振り向くティーダの頭をぽん、と撫でてやる。


「よくがんばったな」


「――!」


ティーダは目を丸くする。
でも、


「うんッ!」


と、太陽みたいな笑顔になった。


――…厄介だな。
子供は表情がコロコロ変わる。

厄介なところは父親そっくり。でもキライじゃない。
そういうのも似ているな。




…オレは…。

あの太陽の光に惹かれているだろう。
だから、もう少し面倒見てやるか…。


そう、あいつとの約束を果たす日まで――…。











→あとがき

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