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I know
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――行くな、どこにも…。



突然言い出した露草の小さな声。
震えていて、消えそうなその声は俺の胸元から籠って聞こえた。


……今は真夜中。
銀朱との一件もようやくおちつき、また静かな生活に戻った頃だった。

突然露草が俺の床に来て(多分寝ぼけてのこと)“行くな”といいだした。

――あの事件以来,自分の周りの大切な人が消えるのが怖いらしい。
大方、今度は俺が消えるような夢を見たんだろう。

抱きついて離さない露草の声は震えていた。


俺はそんな露草の頭を優しくなでる。


「行かねぇよ。」

「…嘘だ。」

「嘘じゃない。」

「……。」

「お前を置いて消えたりしない。」

「……約束だからな」

「あぁ」


静かにそう答えれば安心したように、そのままズルリと俺にもたれかかって意識を手放した。


――本当は、俺も同じキモチだった。
でも俺は一人でも大丈夫。
白緑を失ったトコロは痛いけど、それは後から知ったこと。
露草は初めから白緑を慕っていた。大好きだった。
たまにそれにムカついたけど。











「ん……」


露草が目覚めたのは朝方だった。
俺はと言うと、眠れるハズもなくただ露草
の寝顔を眺めていた。


「……何見てんだよ。」

期待通りの言葉にくすりと笑みをこぼす。

「別に?」

いたずらに笑う俺の顔が不満だったのか、露草はむっとする。

しばらく沈黙が続いたが、突然露草がうつむいてボソリと何かをつぶやいた。


「俺、もう大丈夫だから。お前が、いてくれるから……」

その顔は見なくてもわかる。
真っ赤だ。


「あぁ。」

「ホントにホントだからな?」

「くす……わかってるよ」

「Σ笑ったな!?ホントだってーの!」

「あぁ、知ってるよ。」



だって俺も。

今の俺にはちゃんと露草がいるから。
きっと大丈夫。
次に会った時にはちゃんと向き合える気がする。




白緑……いや、銀朱に――…。









END




久々の更新&駄文すいませんです...

なんかこんな梵露が書きたいなぁとおもって……。

えー感想とかいただけるととても嬉しいです\(^O^)/

それではっ!!









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