other

いつかその日まで
1ページ/2ページ











そう、これは…




オズがまだオレを“鴉”としか呼んでいなかったころの話である…。






















その日。


オレは部屋の中で何をするのでもなく、



ただボーッとしていた。




「はぁー…。」




とため息を一つ。



タバコに手をかけて、口にくわえた。











オレは今、



すごぉぉぉく悩んでいるのだ。





まぁ片目ピエロがちょっかいだしてくるなんていつものことだし、



バカウサギに色々言われるのもそれほど気にはならない。




でもな…。




「あれ?鴉なにやってんの?」




…来た…。


オレの悩みの原因…。





確かに、
オズがアヴィスから帰ってきてくれたのは、オレにとってかなり…いや、まじでとびあがるほど嬉しいことだ。





でも、なぁ…。





「なんか考え事?」




「ん?いや?何故だ?」




「だって鴉…。タバコに火ぃ付いてないよ?」





うぉっと!


しまった!



つい忘れてしまった…。




「ったく…ドジだなぁ」




「ドジで悪かったな」




皮肉っぽく言うオレに、オズは、ははと笑う。




「オレの知ってるヤツでもな、鴉みたいなドジなヤツがいるんだぁ」




お、なんだ?




「オレさぁ、いっつもそいつ遊んでたんだけどさ」






で?



で!?



そいつじゃないのか?






「楽しかったなぁ…。」










もしかして…。




オレのこと…?





「そいつに会いたいか?オズは」




「勿論。会って、謝りたいんだ…。
あいつ、きっとなんでも自分のせいだと抱えこんでる…。」




「……。」





オズ…。















―…と。


いきなり

ととととと、


小さな足音がし、それはオレの足下にきた。






「でね、そいつ鴉によく似て…」








ねねね猫だぁぁぁ!!!!






落ち着けェェェ!


落ち着くんだ、オレ!




もしここで猫がキライとわかってしまったらオレの正体がぁ…!





「あ、猫だ。
…どしたの鴉。固まって…。もしかして猫キライ…?」





ギクッ!



マズイ!




「い、いや?オレ、ねねね猫好きだぞ?」





……。




大丈夫…かな…。





「…そっか…。」





あれ?



一瞬、悲しい顔に見えたのは…



気のせい…だよな?







.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]