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□ある日のこと
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今。
篠ノ女紺はキセルを口にくわえながら、ある人を待っていた。
…ここは日本橋。
着物をまとった、身長の低い人々が行き交う場だ。
その中で、ふぅ、と紺は短いため息。
呆れてるとか、
怒ってるとかではない。
これはきっと…そう、緊張、や楽しみ、といった感情だろう。
そして、そんな紺が待ちこがれている相手があちらから走ってくる。
六合鴇時だ。
「ごめん、篠ノ女!」
「ったく、いつまで待たせんだよ」
「あれ、怒ってる?」
「当たり前だろ?」
うそ。
ホントは怒ってなんかない。
ただ、鴇の困ったような顔が見たかっただけだ。
紺の思惑通り、鴇は焦ってるような、戸惑っているような顔をした。
「え〜と…。ごめん、篠ノ女。」
「……。おー。」
「まだ、怒ってる…?」
「いや…。」
「じゃ、なんで顔背けるのさ。」
「……っ…///」
お前がそんな顔するからだろう!?
確かにして欲しかったが…(ぉぃ
上目使いは反則すぎる…!
「ち、茶屋でもいくか」
「あ、いいね、それ」
大丈夫かな、おれ……。
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