おはなし
□逃がさない2
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「………っぅ、」
綱吉が目を覚ませば自分が寝そべっているベッドだけが置いてあるシンプルな部屋にいた。
「なっ…何この部屋、オレ知らなッ…、っ!?」
慌てて起き上がろうとすれば手がベッドの柱に拘束されていてうまく動けない。
「………ぁ…、」
徐々に思い出される昨日の記憶。
確か骸にここでなんでか会ったんだ、それで………、……それで?
どうしてもその後が思い出せない。
うーんうーんと頭を捻っていればガチャリと部屋の扉が開く。
「…おや?目が覚めましたか」
「あ…骸、」
部屋に入り近付いてくる骸にどこか恐怖心抱きながらもこれを解いてと手を拘束する縄を見せる。
骸が無言でしゅるりと縄を解くと綱吉はふぅと小さく息を吐く。
「……昨日の今日だというのに、君は…」
もう忘れてしまったんですか?
「………ぁ…う、」
ぎしり
骸が綱吉の座る軋むベッドに手をついて身を乗り出し耳元で囁いてやれば綱吉の薄く開いた唇から小さく声が洩れた。