戦乱組曲-Overture-

□円舞曲 エピローグ
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かの「十王」との戦いから二ヶ月余りが過ぎた。
守護者本部の復興の早さは目を見張る物がある。
何故なら、たった二ヶ月で廃墟と化していた本部跡地が、以前とほぼ変わらぬ姿にまで建て直されていた。
まだ、作業中との事だが、それにしても目覚ましいまでの復活を遂げている。
「レイナさん。この材料はどちらに?」
「それは……あちらの建物の二階に運んでくれ」
「分かりました」
工事に携わっている者にレイナが指示している。
今回の工事の作業員は守護者の兵士が大多数だが、他にも工事の手伝いをしている者達もいる。
「レイナさ〜ん!
お疲れ様です〜」
「よっ!張り切ってんなぁ」
「お勤めご苦労様です。レイナ殿」
レイナの姿を見つけた、いつもの面々。
ジェネ、ティボルト、ギオームの三人だ。
「ああ、三人もお疲れ。どうだ?
そっちの様子は?」
「完成と言っても差し違えはない程までになりました。彼らのおかげで」
ギオームが状況を説明していると、ちょうどいい具合に「彼ら」がこちらに向かってきた。
「皆さん!こちらも終わりましたよ〜」
「やれやれ…いくら体が丈夫に出来てるとは言え……流石に疲れた」
「ハッハァ!これがいいんじゃないか!
労働の後の飯は最高に美味いんだZE!」
現れたのは仕事を終えたばかりの、アリシア、オスカー、ハーレンの三人だった。
「三人共、お疲れ様。
今日の作業はいつもよりハードだったんじゃないか?」
「なぁに。これ位しなきゃ、守護者に罪滅ぼしなんてできないだろ?」
「でも、オスカーさっき『疲れた』って言ってたけどね」
一同が笑いあっていると、別の場所で監督していたサリヴァンが現れた。
「随分楽しそうだな。
少し前までは敵だったというのに、こんなに早く打ち解けられるとは」
「でも……不思議ですよね。私達の中でも生き返った人と、そのまま消えてしまった人がいた。
……なんで私達は生き返ったんでしょう…」
アリシアが不思議そうな顔をしている。
実際、「十王」の中でも生き返ったのは、この三人とシュヴァルツバルト、ニルバスの五人だけだった。
「『原因』が分かれば、断言できると思うが……真実はまだ分からんな」
「……あれ?
そういえば、フォルカは?」
「フォルカなら、リーダーとニルバスの見送りに行ったらしい」
「そうか……今日出発だったな。まあ、いいだろう。
先にここに居るメンバーに伝えておく」
サリヴァンが咳ばらいを一つすると、ほほえましい顔をしながらレイナ達に言った。
「本日より、アリシア、オスカー、ハーレンの三人を守護者の一員として迎え入れる。
並びに、この三人にはフォルカの部隊に所属してもらう事になった」
「え………」
レイナ達四人が呆気に取られたように固まっている。
「よろしくお願いします!
これからもずっと一緒です!マスター!」
「まあ、そういう事だ。
入るからには精一杯やれせてもらう。よろしく頼むぜ、先輩」
「ヤ〜ハァッ!以下同文!!」
「これは嬉しいが…驚いた。というか、アリシア。何だ、その『マスター』というのは私の事か?」
「え?何?何?
アリシアとギオームって付き合ってるの?」
「い、いや!そういうわけでは!」
ニタリと笑いながら、ジェネがギオームを問い詰めている。
「こりゃ、前より騒がしくなるな。
今日は宴会か?」
「せっかくだ、良い酒を頼むぜ」
「オレは美味い物なら何でもOKだZE!」
「オスカー!ハーレン!お前達!そこになおれ!」
「そんなに言わなくてもいいじゃないか。ティボルトの嫁さん」
「だ、だっ!誰がだっ!!馬鹿者っ!!」
「さっそくこの調子か……さて…」
今夜だな。
あいつと会って、色々聞き出さないといかんな。
珍しく粋な真似をしてくれたものだ。
感謝すべきかもしれんな。あの女には
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