Sーhort


いつの日か、もう一度
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 いつの日か、もう
 一度




 「ただいま〜……あれ?」

 いつも通り学校から帰宅した
 のだがいつもならすぐに返っ
 てくるはずの「おかえり」が
 聞こえてこないことに疑問を
 感じたあかね。

 そういえばいつもは玄関にた
 くさんある靴が、今はない。

 あるのは…


 「乱馬…?」


 たしか、さっき校門を出た所
 で三人娘に追い掛けられてい
 ったから、今日は遅くなるだ
 ろうと思っていたのに。自分
 よりも早く家に帰ってきてい
 たことに、驚いたと同時に疑
 問が浮かんだ。さっき「ただ
 いま」と言った時、返事が返
 ってこなかったからだ。

 「…道場にでもいるのかしら
 ?」

 まあ、大したことでもないか
 と思い、さして気にもせずに
 着替えをしに部屋へ向かった


 …のだが…


 「……なにしてんのよ…」

 なぜか人の部屋の人のベッド
 の上で、我がもの顔で眠りこ
 ける無礼者がいた。

 おそらく漫画を読んでいて、
 そのまま眠ってしまったのだ
 ろう。顔の上に読みかけの漫
 画が置かれていたから。

 「まったくもう!」

 この男は、プライバシーもな
 にも、あったものじゃない。

 女の子の部屋に無断で入るな
 んて、普通の神経なら絶対に
 できないであろうことを当た
 り前の様にやってのけるこの
 男。しかも何度言ってもやめ
 てくれないのだ。怒りよりも
 呆れてため息が出た。

 叩き起こしてやろうかとも思
 ったが、ぐぅぐぅと聞こえて
 くる鼾に、三人娘との追い駆
 けっこで疲れているんだろう
 と思い、そのまま寝かせてあ
 げることにした。

 「…今日だけだからね?」

 呆れた様に呟くあかね。でも
 、その口元は微笑んでいた。

 もう彼のこんな行動に慣れて
 しまったのも事実。

 それに、自分の部屋で完全に
 リラックスしている彼を見る
 のは、そんなに悪い気分では
 ないのも、正直な気持ちだか
 ら。

 用事を済ませて、さっさと部
 屋を後にしようと思ったのだ
 が…

 「……」

 よくよく考えてみると、自分
 の用事というのは『着替え』
 だったのだ…。

 いくら乱馬は寝ているとはい
 え、いつ起きるかわからない
 状況下で着替えるのは気が引
 けた。

 だからといって姉の部屋に無
 断で入るのもどうかと思うし
 、居間で着替えるのもなんと
 なく嫌だった。

 (ん〜…もぅ、いっか)

 なんだか考えるのも面倒にな
 ってしまい、とりあえず彼が
 起きるまでは着替えないで過
 ごすことにした。

 そして、そっと部屋を出よう
 としたのだが…


 「あ゙がね゙〜っ…!!」

 「っ!?」

 突然大声で名前を呼ばれ、飛
 び上がって驚いてしまった。
 かろうじて悲鳴は飲み込んだ
 が…。

 起きたのかな?と思い、そ〜
 っと振り返ってみると、彼は
 寝返りをうったせいで顔の上
 の本が落ちてはいたが、熟睡
 したままだった。あどけない
 子供の様な寝顔が覗いている
 。

 (驚かさないでよね〜。もう
 …)

 起きていないことになんとな
 くホッとして、気を取り直し
 て、もう一度部屋を出ようと
 したのだが…

 「…あかね〜…きょ〜ぼ〜…
 」

 「…な゙っ!!?」

 寝言とはいえ、いつもと同じ
 様な暴言を吐かれて、かなり
 頭にきた。

 (この男はぁ〜!!やっぱり叩
 き起こしてやりましょうか〜
 !!)

 頭に怒りマークをこしらえて
 振り返ると、ハッとなった。

 寝ている彼の表情は、驚くほ
 ど優しくて、とても嬉しそう
 だったのだ。

 (…なに、笑ってるのよ…)

 彼の表情に、さっきまでの怒
 りは消え、代わりに可愛いな
 と思ってしまう自分。そして
 そんな自分に気付いて、なん
 となく悔しくなってしまう。

 (心底コイツに惚れちゃって
 るのかな〜…)

 そう思ってしまうから。



 …いつだって彼の本心はわか
 らなくて、『許婚』という言
 葉だって、単なるお飾りの様
 なもので…自分に向けられる
 のは心無い暴言ばかり。

 それでも

 自分が危険に晒された時には
 、自分の命をも顧みずに助け
 に来てくれるのだ。


 そして、自分は

 そんな彼のことが


 「…好き…」


 呟いてから我に返ったあかね
 。
 先程の自分の言葉に赤面して
 しまう。

 慌てて彼を見ると、相変わら
 ず幸せそうな、そして嬉しそ
 うな表情で寝ている。彼が寝
 ていることに心底ホッとした
 。
 でも、寝ている彼にまで翻弄
 されている自分が、なんだか
 少し恥ずかしい。

 「バ〜カ…」

 悔し紛れに小さくそう呟いて
 、部屋を出た。






 ******






 「…誰がバカだ…」

 主のいなくなった部屋にポツ
 リと響いた声。

 声の主はもちろん彼。

 「…起きてるっつ〜の///」

 真っ赤な顔で拗ねた様に呟く
 。

 実は、自分の大声で目が覚め
 ていたのだ。

 そして、からかうつもりで呟
 いた悪口。

 きっといつもの様に叩き起こ
 されるんだろうと思って、笑
 いを噛み殺しながら。

 しかし、返ってきたのは予想
 だにしなかった言葉。


 嬉しいのも本音。
 照れたのも確か。

 だけど、それ以上に

 …なんだか悔しかった。


 だってその言葉は…


 「俺が先に言うつもりだった
 のに…」


 だから

 さっきの嬉しい言葉は、自分
 の胸だけにしまっておこうと
 思う。

 そして、いつか彼女に言えた
 なら、
 そしたら彼女の口からも聞か
 せてもらおう。


 大切なあのコトバを、もう一
 度…



 end...



 ■あとがき■

 久しぶりの小説でございます
 るvv
 なのに意味不明な感じでごめ
 んなさい(;;)

 しっとり系の小説にしたかっ
 たのに…。お互いの気持ちは
 わかってるのに、素直になれ
 ない感じの二人にしたかった
 のに…

 なぜか乱馬君だけがわかって
 んだよ的な小説になってしま
 った…(汗)

 しかも、わっけわからんまと
 まりナシな文章になった(涙)

 アップしたばっかりで、すぐ
 に削除したくなってきたよ…

 まぁ、リハビリということで
 (^^;)

 それではっ!!!(←←←逃走)





 

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