ねぇデイダラ?



あの時交わした口約束、



今でも憶えてくれていますか?



高校にでたら絶対結婚しよう…って。


デイダラ、言ってくれたよね?



嬉しかったよ、本当に。



涙が出るほど嬉しかった。



だけど…


私はあなたを裏切りました。








「はい!できました、お似合いですよ!」



私の隣に立つ綺麗な女の人のその言葉を聞き



近くにある大きな鏡へと足を動かした。



鏡にはいつもの私とは少し違う私が、映し出されている。


髪は綺麗に巻かれアップされてあり、



化粧も完璧と言っていい程。


鏡に映る自分を見ると何故だか切なくなってしまう。



足元を見れば華麗に広がるピンクの花。


きゅっと締まったウエストが少し苦しい。



改めて自分の姿を見ると嫁に行くんだ、と確信する。



『あ…ありがとうございます、』


私はお礼の一言だけを残しその部屋を走って出て行った。



向かう先は旦那様の居る隣の部屋、ではなく式場の庭。



誰よりも早く私のこの姿を見てほしい。


私が本当に愛している人…。



「あ、いたいた!!デイダラー!!」


少し離れた枯れかけの桜の木の下で目を閉じる綺麗なあなた。



私はドレスの裾が汚れないように


少しスカートを持ち上げながらデイダラの元へと走る。


本当ならこのまま勢いで抱きつきたい。


だけどそんなこと私には許されてない。


目の前の私を見て慌ててネクタイをきつく締めようとするデイダラ。



慣れないのかぐちゃぐちゃになるネクタイ。



「仕方ないな〜。今日だけだよ?」


そう言って乱れたネクタイをきちんとしめてあげる。



本当なら毎日でもこうしてネクタイをしめてあげてもいいくらい。


自分で言った『今日だけ』という言葉がやけに虚しく焼きつく。




「似合ってるぞ…うん。」


デイダラがそう言った瞬間


私の心臓はこれでもかというほどに暴れだした。



さっきメイクしてくれた人が言ってくれた言葉と同じだけど


デイダラの口から聞くと不覚にも高鳴る鼓動。



「え?そうかな…有難う!!」



赤く火照った顔を隠すために


くるんとデイダラの前で一周回ってドレスのスカートを風に舞わせる。



「おめでと…うん。」


涙がでそうなほど切ない声での呟き。


本当は嬉しいくないといけないのに…



やっぱりあなたは遠い。



『ありがとう』


この気持ちが伝わらないように


偽りの笑顔を向ける私。


(一言くだされば日記にて
お返事させていただきます!!)



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