戦歌
□Serenade 〜 雪を纏う少女 〜
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街中で歩きながら食べるというのは、あまりよろしくないのだが、クーは平然と口の中に甘い焼き菓子を頬張りながら道を進む。
当然のように甘いものは苦手なレンは、その芳醇な香りに嫌そうな顔をしていたが、しかしクー以外に見知っている者が周囲にいるわけがない。故に、そんなクーの傍を離れられずにいる。
そんな中、二人がその少女を見つけたのは本当に偶然だった。
「……なぁ、レン。あの子、どうしたんだろ……」
クーが指を指した先、路地裏の中で蹲るひとりの少女がいる。ぼろぼろの着衣はもう彼女の身体を保護するには昨日を失いすぎていて、見ていて寒そうだと思えてしまう。
「…そういえば、町には浮浪児がいるって、シスカがいってた」