小説
□interview
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長かったテスト期間が終わり、テスト勉強から解放された俺。
そして今、俺の隣には山本。テスト終わり祝いに二人で電車に乗って、都心を散策することになったんだ。
「なんかさ、やっとテスト終わったな。すげー開放感だ。」
「うん!もうリボーンに縛りつけられずにすむし。」
「ツナも大変だな…。あ、あの店寄っていいか?新しい靴欲しくてよ。」
話しながら歩いているからスピードはすごくゆっくりだ。歩道橋にさしかかって、人だかりを見つけた。カメラやマイクらしき機材が見える。テレビの街頭インタビューだろうか。
俺達はその人だかりを通りすぎた。のだが。
「すいません、ちょっといいですか?」
人だかりの中からマイクを持ったおじさんが大きい声を出した。俺たちを呼び止めたのかな…。
「俺達ですか?」
「はい。私、〇〇テレビの〇〇〇の者ですがちょっとお時間よろしいですか?」
「いいっすよ。」
山本が軽々と許可した。俺的には面倒ごとはごめんなのだが…。山本が楽しそうな雰囲気だったので、俺もインタビューに答えることにした。どうせ、マイナーな番組だろう。
「ではちょっと答えていただきたいのですが、彼氏さんに質問です。」
「彼氏!?」
「彼氏?」
どっちをさしているんだろう…。
いや、どっちも恋人は居ないし…。あ、山本に聞いたのか!山本かっこいいから彼女いそうだし…。
「多分山本のことだよ。」
「ん?そうなのか?」
俺は小声で山本に告げた。山本はきょとんとした顔で俺を見つめた。
「すいません、彼氏って?」
「あれ、お二人は付き合ってる訳では…?」
「そんな選択肢あったんですか!?」
俺たちの声がハモり、今度はインタビュアーがきょとんとする。なんで付き合ってるって考えるんだよ!俺たちはホモじゃないんだぞ!
「え、付き合ってないんですか?」
「付き合ってる訳な…「すいません、俺に質問って何ですか?」
「…え?」
でた…。
山本の悪い癖…。読まなくていいところで空気を読むスキル…。
「あ、やっぱり付き合ってたんですか…。えー、では改めて質問です!彼女は甘えん坊だと思いますか?」
「あー…、はい。そうっすね!」
「……。」
「では次の質問です!彼女に尽くしてますか?尽くされてますか?」
「……尽くし尽くされってとこっすね!」
「……!」
山本が適当に質問に答えていく。何だよこの適応力…。
「最後に彼女さんに質問です、彼氏の事をどう思いますか?」
「……優しくて頼りになるのですごく好きです…。(親友として)」
「おぉー!インタビューどうもありがとうごさいましたー!」
やっと去った…。
…この数分の間に俺は今日1日分の疲れが溜まった気がする…。
「あはは!楽しかったな!」
「楽しくないよ!」
そして何よりも山本の適応力に驚かされた。さすが山本、侮れない…。
疲れたけど山本が楽しそうにしていたから別にいいかなと思う。俺の適応力も上がった気がする。
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数日後、学校に登校して教室に入った瞬間、俺の周りに人だかりができた。俺は当然驚いた。ダメツナの俺になぜ人があつまったんだろうか。まさかの集団リンチ!?とか思ったけど、予想は外れた。
「沢田さあ、山本君と付き合ってるって本当!?」
「お前テレビに出てただろう?山本とできてんのか?」
「どうなのよ!!」
みんなの話によると、とある人気番組の街頭調査で俺たちが出ていたらしい。あのインタビューのことだ。まさか人気番組だとはしらなかった…。
「どうなの!?ツナ君!」
京子ちゃんはなんで目を輝かせてんの…?
俺は教室の隅っこで人に問い詰められながら、あのインタビューを受けたことを悔やむのだった。
→あとがき