NOVEL3

□たまには、ほのぼのも良いよね。
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「銀さん今日、恒道館の近くで花火が上がるらしいんですよ。」

キタ、と銀時は思った。
毎年毎年、お妙は夏になると欠かさず祭りやら花火やらに銀時(正しくいえば万事屋)を誘う。

だが、銀時は暑いのやら寒いのやらが苦手だ。
それはもう、10や20分で苛々する程に。

それに何より、祭り=カップルという方式が頭に浮かぶ。
イチャイチャイチャイチャお前ら当て付けかコノヤローと、祭りを見る度苛々が頂点に達するのだ。
花火や、祭り自体は好きなのだが、ベタベタ腕を組んだりしている連中を見ると、気が滅入る。

…だから、今回もうまい事言って一人残ろうと思った。

「あのさ、お妙サン。
俺今日はいか「綺麗でしょうね花火。数週間前から支度してたんです私」

「いや、だから「アイスクリームに、綿菓子に……あっ今年は鯛焼きとリンゴ飴とブドウ飴っていうのも出るらしいですよv」


(…駄目だ流されるな俺!
ブドウ飴食ってみてえとか思ったら負ける…!)

カップルとブドウ飴達が天秤に乗りグラグラ揺れるのを気合いで打ち消し、カッと強い眼差しでお妙を見る。

「いや、わりーんだけど「行きますよね?」

「はい…」


…0.01秒。
銀時はニコニコと微笑む麗人の背後に浮かぶ黒い何かに勝てなかった…。
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