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□『今は…』
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肉と肉がぶつかる音。
くちゅくちゅとイヤラシイ音が耳に堪え難い。きっと素面の時だったら、目をつぶり耳を塞いでいるだろう。
けれど、今の僕には官能を増大させるスパイスだ。
「…ん…」
掴んでいる彼の首を軽く自分の方へ寄せ、唇を突き出し、酸素を求める溺れた人の様に口づけを求める。それに気付き、彼はクスリと掠れた甘ったるい笑みを漏らし、余裕有りげに口の端を上げそれを与えてくれる。
チュッと幼い子供の様なキスに僕は不満そうに彼を見つめ、自分から口を開き、舌を突き出し、彼のいやに整った形の良い口をペロリと舐めた。
一瞬、彼の瞳が波色に揺れ、僕を抱く大きな手が強張った気がした。
それでも僕がぺロペロとまるで子猫の様に彼の唇を舐めていると、彼は求めていたー否それ以上の―獣が獲物に噛み付く様な激しい口づけを与えてくれた。縦横無尽に生暖かいモノが咥内を掻き回すと、体の方では足の先から頭のテッペンまで快楽と言う蛇がのたうちまわる。
足や手が痺れるような甘い熱いキスだ。
隙間なく埋まったそこから酸素を取り入れたくなって、少し顔をずらすとそれを許さないように彼が追い掛けてくる。
隙間が空けばそこに噛り付き僕の唾液を飲み込み、酸素までも奪う様だ。
だが流石に苦しくなって頭が快楽以外でクラクラすると彼の背中と綺麗に引き締まった脇腹を叩いたり蹴ったりして意思を伝えようとしたのだが、余計に舌は動きを速め上顎、下顎、歯肉、舌の裏をはいずり回る。このままじゃ…と身の危険を感じ思いっきり彼の腕を抓ると「イタ」と呻き、離した隙に僕は彼からベッドの淵に離れハァハァとまるで全力疾走したみたいに息をした。
悪態をついてやろうと彼に視線を向けようとしたらいきなり足を引っ張られ、まさに狩られた動物みたいに引き寄せられると彼は僕の首筋に噛み付いた。
結構痛かったからきっと痕がクッキリ浮かんでいるだろう。
そのままそこを愛おしそうにねっとりと丁寧になめ回していると、不意に彼の下半身が密着したかと思うといきなり彼自身が僕を貫いた。
「ひぃっ」