ハリポタ
□それを人は恋と呼ぶ。
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「…………?」
もう直ぐ塔の屋根、という所で何やら人がうずくまっていた。
その人はずぶ濡れで、顔が見えない。
(…何を、しているのか…)
通り過ぎようかと、思った。
あまり人とは関わりたくない。
けれど、こんな雨の中、けして暖かいとはいえない気候で。
(…こんな所で凍死されてはバツが悪い……)
「何しているんですか、あなた」
思わず、声が出ていた。
僕らしくない、と少し思ったけれど。
うずくまっていた人は体をびくりと震わせ、水滴のついた鳶色の髪を揺らした。
「………ぁ、」
その瞳から目を離せなくて、僕は言葉を失った。
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