平和の星

□銀河に願いを「宝探し編」
4ページ/6ページ

二つめ『流れ星と共に』






「わぁ…綺麗だなぁ…」


さらりと吹いている少し冷たい夜風。
夜空に広がる無数の星。
その輝きで、暗いはずの景色に綺麗な明るみが表われている。

そんな中で、カービィは夜空の流れ星を見つめていた。
彼が座っているその場所は、夜空に流れる星がよく見える一帯だった。だから、カービィは流れ星の時間帯になると、暇さえあればよくここに来ていたのだ。

「…いつ見てもすごいなぁ…」

カービィの目に映っているのは、星がたくさんある中の、何度も現れてくる流れ星だった。
キランと輝いては、あっという間に流れて消える。それが、彼の目の中でも何度も起こっていた。

そういえば、ここだったなぁ…リボンちゃんに初めて会ったの…

そう、この場所は、ある一つの冒険が始まった所でもあった。
それは、カービィが今のように星を見ていると、空から妖精が降って来たことから始まった。彼はその妖精、リボンを助けるために、デデデ大王とアドレーヌ、ワドルディのコーゼと遠い星まで冒険をしたのだ。

そんなことを思い出していると、頭の中で、ある記憶がよみがえった。


最後に…キスされちゃったんだ…リボンちゃんに…


頬に、あの時の感覚が伝わってきたかの様に感じた。途端に顔が赤くなる。
特別な感情なんてものは、カービィにはよくわからなかっただろうが、少なくとも彼女に対しての何らかの思いはあったのだろう。


「…寒ッ」

カービィの側を通った夜風は、夜がふけてきたからか、より冷たくなっていた。
そろそろ帰るか…

そう思った時だった。

突然、夜空に妙な違和感を感じたのだ。
一見、流れ星が出てきているように思われるが、どこか普通と違っていた。

キランと輝いて、流れていく流れ星…

流れていく…?

いや、こっちに近付いてる…?

そう、流れ星だと思っていた光が、段々と大きくなって、こっちに迫っているのだ。

「あ…あれって…?」

思わず呆気にとられたカービィは、接近している"何か"を見つけたまま動かなかった。


そのせいで、"何か"はカービィに激突した。


「ッつ…ったあぁいッ!!?」

分かりにくいと思うが、上記でカービィが言っているのは、「痛い」である。


カービィの方が、"何か"よりも小さかったからか、ぶつけられた彼はかなり吹っ飛んでしまった。ボールのように転がっていく。ようやく止まると、カービィはゆっくりと立ち上がった。
頭がくらくらする…
タンコブでも出来たかなぁ…?

そんなことを不安に思いながら、カービィは夜空から何が落ちてきたかを確かめようと、それに近付いた。

それは、丸い生き物だった。

カービィと同じような姿だ。
彼と違うのは、丸い手はなく、履いている茶色いブーツと、足の間の赤いリボン、赤と青のピエロが被ってるような帽子ぐらいだった。

目は閉じている。寝てるのかな?
ちょっと起こそうと思って、頬をつねってみた。だが、死んだようにびくともしない。
いや、死んでるかも知れない。流れ星と勘違いしたぐらい高い所から落ちてきたようだから、普通死んでしまうだろう。

とりあえず、ここに置いといてもどうにもならないから、家に運ぼうと思って、カービィは"それ"のブーツを持って、引っ張ろうとした。

その時だ。

"それ"の足が、ピクリと動いたのだ。カービィは驚いて、思わず後ろに下がった。
閉じていた目が、ゆっくりと開いた。大きな目だ。


「…あれ?」

"それ"はブーツを履いた足で、よろよろと立ち上がる。

「ここ…どこ…?」

どうやら喋れるようだ。それに、声からして男の子のようでもある。

「…キミ…だれ…?」

少年はかたまっているカービィを、じっと見つめた。目が目玉焼みたいに大きいせいで、何だか重圧を感じてしまう。

「ぼ…僕はカービィ!…君は…?」

「ボ…ボク?ボクは…」

すると、少年は急に黙り込んだ。名前がないのかな…?

「ボクは……マルク…」

マルク。少年はそう言った。

「マルク…?君の名前…?」

コクンと、マルクはうなずいた。彼の被っている帽子がユラリと傾く。
すると帽子の中から、一冊の本がポトリと落ちた。

「…?何それ…?」

カービィはそれをそっと拾い上げた。かなり古びた、ボロボロの茶色い本だ。表紙には何か文字のようなものが書いてあるが、カービィには読めない文字だった。

「…?ねぇ、これって何なの?」

カービィは、何故だか、うわのそらになってるマルクに聞いてみた。

「……知らない…のサ…」

「のさ?」

知らないんだ…と思うと同時に、聞き慣れない言葉が聞こえた。

「"のさ"、ってなぁに?」

「…わからないのサ…」

「…また"のさ"って言った…」

カービィの頭は混乱してきた。
突然夜空から流れ星みたいにやって来た"マルク"という少年は、変な格好で、変な本を持ってて、変な言葉を言う…
よく分からないことだらけだった。



…よし、決めた!
デデデに会わせよう!
デデデなら、何でも知ってるからなんとかしてくれる!


カービィがそう思った時には、もう夜が明ける頃になっていた。太陽が山から覗いている。

「よし、マルク!ちょっと来て!」

カービィはマルクの帽子をガッと掴んで、走り出した。マルクには手がないようだったので、掴む所がそこぐらいしかなかったんだろう。

「な…!?うわっ、わっ」

マルクはこけそうになりながらも、カービィに引っ張れながらついて行った。

こうして、二人はデデデ城へと向かって行った。



 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ