平和の星
□泉にて巡り逢わせ
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弟十六話『よく落ちるカービィ』
カービィの目に映っていたのは、まさに今、スターロッドを足で蹴ろうとしているピリッツだった。
それを見て察したカービィは、この投げられた状態のままピリッツに体当たりしようと考えた。
「やめろォっ!」
そう叫んで、もう少しで彼にぶつかりそうなとこまでいった。だが、
「…甘いよ」
ピリッツは素早く足を挙げ、カービィに振り落とした。それは見事に頭の中心に当たり、そのまま水が流れている下の床に激突した。
「イタァい…」
顔面を床にぶつけたため、顔が特に痛く感じる。
「カービィ!大丈夫ー?」
遠くでケケの声がする。カービィは、何とか立とうとした。
「大丈夫ー!僕は餅みたいなもんだからー!」
あ、そ。
ケケが、そんな風に呟いたと思ったその時だった。
何かが、折れた音がした。
するとその残骸が、カービィの目の前に落ちてきた。スターロッドだった。
「あ…あ………あぁ…」
「残念だったね…間に合わなくて…」
台座から飛び降りたピリッツは、カービィに段々と近付いていく。
「まぁ…ご苦労様だった…というわけで…」
ピリッツはカービィのすぐ側まで来ていた。スターロッドが壊れているショックで目を見開いている彼の顔に、自分の顔を近付けてこう言った。
「じゃあね…『ライフ…」
その時だ。
ケケが箒に乗りながら、カービィの足を掴み、魔法をかけようとしたピリッツから風のように速く離れた。
「何ぼーっとしてんのよ!危なかったじゃない!」
「ご、ごめん…!ケケ、後ろ!!」
カービィが叫んだ時にはもう遅かった。にぶい音が聞こえたかと思うと、あっという間にケケは森の方へと吹っ飛ばされてしまっていた。ピリッツが後ろから蹴り飛ばしたのだ。
すると、突然体がガクンッとなったと思うと 、箒が折れていることにカービィは気付いた。今の衝撃で折れたのだろう。カービィはそのまま、泉の水が溜まっている所に落ちてしまった。
少し高い所から落ちたせいで、勢いよく水の中に入った。意外に深く、暗い底が目に映った。体中に冷たい感覚が包む。飛ばされたケケの安否が不安だったため、カービィはすぐに顔を水中から上げた。
「ぶはぁっ…ハァ、ケケ…!大丈夫ー!?」
真っ逆様に、水中に落ちた衝撃で、方向感覚がまだはっきりしていなかったカービィは、彼女が飛ばされた方向を探しながら、大きな声でそう言った。
だが、彼女の返事はない。
その時、森の一歩手前辺りに、土埃が煙のように舞っている所があった。
ケケは地面に叩きつけられた…あそこだ。
カービィはそう思うと同時に、中の様子がわからないような土埃が出る程の衝撃を受けた、彼女の安否が心配になった。
あんな蹴りを女の子にもやるなんて…
その時だった。
ケケが土埃がから出て来たのだ。頭から血を流し、フラフラと歩く彼女は、どこか様子がおかしかった。
透けている…!
「ケケ!!」
それに気付いたカービィはすぐに陸に上がり、彼女の所に駆け寄った。