平和の星

□戦艦で巡り遭わせ
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弟七話『人格 クリッツ』



『ヒッサシブリノシャバダゼ、ククク…』

可愛く見える犬耳には似合わない、赤黒い目をしたピリッツは、独特な響きのある低い声でそう言った


「お…お主は何者なんだ…?」

トライデントは戸惑いながらそう言った

明らかに雰囲気が変わっている
さっきまではそんなにしてなかったのに、今では邪悪な気が彼から漂っていた

そして、何より目だった
その赤黒い目は、絡み付くような不気味な視線をだしている

メタナイツたちは警戒して何歩か彼から離れた
そのおかげで、鉄球もアックスの足から離れた

「!…た、助かった…」


『…俺様?俺様ノ名ハ…"クリッツ"…ッテコト二シテクレ』

「クリッツ…?」

『アア、ソウダゼ……久シブリダカラナァ…現実ノ声ッテ言イニクイんだよなぁ…と、あら?いつの間に戻ってら…』

その声はいつの間にか普通の高さになったが、独特な響きは変わってなかった
クリッツはトライデントに近付こうとする

『ま、それはともかく、言っとくが俺様は、さっきのスカした野郎とは違うからな。アイツはピリッツとか言う術者だ』

トライデントは三つ又槍を構える

「どうゆうことだ?」

『まぁ、テメェにそこまで教えなきゃならん義務は、俺様にはないんで…』

その時、クリッツは足でトライデントを吹っ飛ばし、壁に叩きつけた
トライデントはそのまま倒れてしまう

「トラ!!」

「テメェッよくも!」

アックスは斧を持ってクリッツに駆け寄った

「オラァッ!」

アックスは斧を振り下ろす

クリッツは素早くアックスの腹に蹴りを入れる
その勢いで、アックスは再び吹っ飛ばされた

「くっ…まだまだぁ!メイス、リン!行くぞ!」

「あ、ああだス!」

「イキマスヨ!」

ジャベリンは燃える槍を次々に撃ち始めた

クリッツは足を前に出したかと思うと、それらの槍をそれで跳ね返していく

その隙にアックスとメイスはクリッツの後ろに回り、鉄球と斧を降り降ろしたが…



キィィィィィィィンッッ

二人の武器は確かにクリッツに当たっているが、先程のような音がするだけで、びくともしていなかった

二人はそのことに驚き、とっさに離れようとするが、

『おせーよ!』

クリッツは素早く二人の後ろに回り、その足で二人同時に吹っ飛ばした

「ゥウワワワッ!」

ジャベリンはその勢いに巻き込まれてしまい、三人同時に壁に激突した
壁の響く音が廊下中に広がる

「な、なんつー強さだ…」

アックスは起き上がろうとするが、さっきの衝撃のせいでなかなかそれが出来なかった
メイスやジャベリンは気絶している
その間にクリッツは彼等の目の前に来ていた

『じゃあな』

そう言うと、クリッツの右足のつま先から大きな剣が生えた
彼はそれをアックスに刺そうとする
アックスはとっさに避けようとするが、体が動けない



殺られる!!










…?

体が痛くねぇ…


なんで…?



アックスはとっさに閉じた目を開けた



そこには、仮面をかぶった青い騎士の姿があった





 
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