平和の星

□星の巡り合わせ
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―朝だ―


窓を開けると、暖かい日差しが入って来る

また、一日が始まる

カービィは窓から空を見上げる


また、今日も平和でありますように…








「ナ、ナニィィィィッッ!!!」

城の玄関でそんな声が響いた

「60人前だとぉぉぉ!?」

「ハイ、そうですよ。そう聞いて運んで来たんです」

デデデ大王はため息をついた

今大王の目の前には、60人前のカワサキ特製朝食定食と、それを運んで来たバイトのペイントローラーがいた

「バカヤロウ!誰が60人前も食べるか!うちに住んでるのは8人!こんなに要らねぇよ!!」

「そんなこと言われましても、もう運んで来ちゃいましたし…」

「どうしたんですか?大王様」

城の中からポピーが出て来た

「それがよぉ、カワサキが料理配達始めたって聞いたから、8人前って頼んだんだよ。そしたら60人前も作りやがって…」

ポピーは首をかしげる

「8と60って、どう間違えるんですかね…?」

「知らねぇよ、俺だって…」

「あのー…」

ペイントローラーは伝票を取り出した

「代金の方は…」

大王は伝票を受け取った
「22万!?バカタレ、こんなに払えるかい!」

「えー、払ってくれなきゃ困りますよ。バイト料が減りますし…」

「お前らのミスだろうが!8人前の分は払うから、とっとと残りを持って帰ってくれ…」

大王は8人分の代金を払った

それを受け取った途端、ペイントローラーは向きを変えてローラースケートで走り出した

「残り、よろしくお願いしまーす!」

ペイントローラーの姿は、もう点の大きさとなっていた

「あの野郎…逃げやがった…」

「あのー大王様…カービィに食わせればいいんじゃないでしょうか」

ポピーはそう提案した

「!…そうか…その手があったか…よし、カービィを探しに行く!」

「…大王様だけで、ですか?」

「ああそうだ。お前はこれ頼む」

大王はそう言って、8人前の朝食定食を指差す

「…わかりました…」












「師匠!師匠!」

森の中で、少女の声がする

「できました!出来ましたよ、師匠!」

「騒がしいのぅ」

シミラは家から出て来た
「一体何が出来たんじゃ、ケケ?」

「無詠唱魔法ですよ!師匠、よーく見て下さいよ…」

ケケはそう言って、箒を構える





ピシャァアァアアァァンッッ!

「ギャアアアアッ」

突然、雷がケケに直撃した
シミラはため息をつく

「…できたとしても、それを操ることができなければ、完成したとは言えんぞ、ケケ…」

「…ハイ、師匠…」

黒焦げになったケケはそう言って、練習を再び始めた










「メタナイト様!大変だス大変だス!」

ハルバードの中でそんな声が響く

廊下を歩いてたメタナイトは、それにすぐに気付いた

「どうした、メイス?」

「大変だス!メタナイト様。アックスとトライデントがケンカを始めたんだスよ!」

「…またか…」

メタナイトはそう呟いて走り出した



「キャンディーだ!!キャンディーに決まってる!あの甘い味、固さ、形、何に置いても素晴らしい菓子じゃねぇか!!」
アックスがそう叫ぶ

「お主はなんて阿呆なんだ。チョコレートに決まってる。あの奥深い味、そしてバレンタイン等の行事にも使われる。これほどなかなかな菓子はチョコレートしかあるまい」

トライデントはそう言った

「はぁ?チョコなんて、茶色でくら〜い感じが出てんじゃねぇか。キャンディーなんて、スゲェ種類なんだぜ!」

「それがどうした。そんな飴等、おいしくも何ともない。舐めるだけでは味は伝わらん。チョコレートは口全体に味が広がるではないか」


「ハッ、そんなの一瞬じゃねぇか。キャンディーはその何倍も時間かかるんだぜ」

「少量じゃつまらんな」

「はぁ!?そもそもテメェ、武士のはしくれなんだろ!?なに西洋の菓子の味方してんだよ!」

「お主こそ、『カッケェ男になるぜ』等とぬかしているくせに、何故女々しい飴を好む!?」

「なにぃ!?」
「何を!?」

二人は互いの武器で争いを始めた

その側には、水兵ワドルディのマースのオロオロしている姿があった

「どうした!?」

メタナイトとメイスが駆け込んで来た

「メタナイト様!」

マースは彼の所まで走るケンカしている二人には、メタナイトの姿は見えないらしい

「…原因は?」

「それが…この前の停泊中で僕が買ったキャンディーとチョコを取り出したら…いきなりこんなケンカが…」

「キャンディーの方がスゲェに決まってる!」
「チョコの方が素晴らしい!」

「なるほど…低レベルにも程があるな…よし…弟32ボタンを押そう」

「わかりましただス」

そう言って、メイスは壁にある32と書いてある小さなボタンを押した

途端に白い煙がケンカしている二人を包む

「うわっ、これって…」
「なぜか…ねむ、い…」

二人はゆっくりと倒れた

「メイス、この二人を休憩室まで運んでくれ。」
「ハイだス」

メイスは二人を担いで運んで行った

「メタナイトサマ、ナンデスカ、アノケムリハ?」

さっきからずっと浮いていたジャベリンが、メタナイトに聞いた

「あれは、記憶消失煙だ。気が付いたら、ケンカのことは忘れてるだろう」

「ナンテツゴウノヨイモノガ…」

そう言って、ジャベリンはどこかに行った

「…メタナイト様…」

「なんだ?マース」

「メタナイト様は、キャンディーとチョコ、どっちがいいですか?」

メタナイトはしばらく沈黙する

「…私はクッキーが好きだ…」

そう言って、彼は去って行った

「…あいだをとったなぁ…」

マースはそう言って、休憩室の方へ走って行った










いつもなら、こんな平和な日が始まるはずだった
だけど、それはもうすぐ壊される

一人の少年の手によって…



 
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