truffi barando e vescovo(飛車角)

□raison d'etre 6
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「...チッ!!やめた!!やめやめ!!
馬鹿らしくて、続きを話す気にもなんねえよっ!!
もう俺は寝るぜっ!!テメエもさっさと寝ろ...!!」



そう云うと飛段は、毛布を掴み取り角都に向けて放り投げ、
自分は少女が眠るベッドに潜り込んでいた。



「...俺は床で寝れという事か...?」



まあ、この状況だ。

仕方が無いか...


角都は毛布に包まると、そのまま椅子に腰掛け壁に寄り掛かり、
少し薄れた意識の中で、既に少女の隣で身体を丸めて寝息を立てている飛段を見つめながら、
ボンヤリと考え事をしていた。










全く...コイツにはほとほと呆れる。

俺が今まで組んできたどの相方ともかけ離れ過ぎてて、
次の行動の予測すらつかないとは、な。



直ぐにカッとなって怒り出したかと思えば、次の瞬間には笑ってみたり、喚いてみたり、文句ばかり云ったり、

突然黙り込んだり...



そうだ...

まるで子供と一緒だ。

コイツの思考回路は、子供の時のまま停まっているのではないだろうか...?




「ハア...」


そんな結論に達した角都は、先が思いやられるとばかりに溜め息をついた。




だが...


一見、喜怒哀楽といった人間的感情に流される風でもない飛段が、
この少女に己の過去を重ねて感情を露にしている様には、正直驚いた。





「...フン、下らん」



そうだ...

下らない...


喜怒哀楽とか、人間的感情とか...


そんな物は、暁のメンバーには必要ない。










「...う...ん...ジャ...シンさまぁ...」



寝返りを打った飛段が小さく呟いた。



「...寝言か?
夢にまで出てくるとは...コイツの頭の中は何処までもジャシン教とやらに支配されているな...」





暖炉の火が小さくなり消えかかると同時に、角都も重い瞼を閉じた。
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