truffi barando e vescovo(飛車角)

□raison d'etre
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あれは…


3ヶ月程、前の事だったか…


あの日も今日と同じ様に、重い錆色の空が何処までも続く、風が冷たい日だった。






ペインに新たな相方を紹介すると云われ、
指示された場所に向かった俺を待っていたのは...


遠目からも目立つ銀髪と緋色の眼を持つ飄々とした口調の男だった。




「なぁ、アンタが【カクズ】って奴?」





俺と目が合った瞬間、初対面のその男は不敵な笑みを浮かべながらそう云った。


随分と不躾な口のきき方だな。



まあ、今はそんな事は一先ず置いておこう…



「…ああ。お前が飛段か?」


「そ。じゃあ、そうゆう事で、今日からヨロシクな!!」


飛段が差し出して来た右手に俺は目もくれず、

「ならば行くぞ。賞金首の潜伏場所が近い」


そう云いながら目的地に向けて歩き出した。




「なっ…オイ!!何だよッ!!

俺がせっかくアイサツしてやってんのに無視かよっ!!!こらぁっ!」


予想通り、というか飛段という男が俺の背中越しに喚き始めた。


チッ…

今度のは随分と煩い奴だな…

俺は内心舌打ちをし、喚きながら走ってくる飛段を睨む。



「テメエ!!角都!!何とか云え…グッ!?」

飛段の首元に何かが飛びかかり、一気に力が込められる。



「…なっ!?」


一瞬、自分の身に何が起きたのか理解出来無い飛段は、
目の前に居る角都の伸びた右腕から放たれた蠢く黒い物体を凝視する。


「煩い!!黙れ飛段!!それ以上喚いたら…殺すぞ」




フン…

恐らくコイツとも長くはないな。

また相方を殺したと、呆れ顔のペインに小言を云われるかもしれない。




そう思いながら、角都はまた内心舌打ちをした。


飛段の首を締め付けながら、そんな事を考えてた角都にとって、予想外な科白を目の前の不躾な男は吐いた。




「…チッ、殺せるモンなら…殺して欲しいぜ…マジで…」


「…何!?」

角都は飛段の首元から自分の右腕を引き離すと、再び飛段を睨みつける。


「…ほう。その減らず口を訊けるのも今のうちだぞ」



やっと気道を確保した飛段は咳き込みながら

「…ゲホ…ッ…何だよ?あのリーダーから聞いてねえのかよ?俺の事を、よ?」


「お前が【不死身】の男…という事か?」


ー不死身ー


そんなもの、この世に存在する訳がない。

不死身と云われ続けたこの俺ですら、事実、新しい心臓を取り込み生き長らえてきたに過ぎない。




だが…俺は、



この飛段という男と行動を共にするうちに、

幾度と無くその【不死身】であるという存在を目の当たりにする事となったー
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