テイルズオブフューチャー異世界の旅人

□テイルズオブフューチャー異世界の旅人 第二十一話〜決着をつけに(後編)〜
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ズガァァンッ!!! と破壊音がサイクスがいる所にまで響いた。


(これでこの世界にソステイルが出てくることはなくなっただろう……)


サイクスは少しだけ安堵しながら周りを見渡す、そして気づいた。未だに瀧風がいないことに、


「なぁバルク」
「なんでしょうか、サイクスさん?」
「瀧とは未だに合流していないのか?」
「……はい」


少し悔しげな表情をするバルクを見てたサイクスは不意に歩き始める、バルクは歩き始めた事に気づいてサイクスの裾を弱々しく掴む。


「どこ行くんですか、今は互いに離れない方が得策かと思いますが?」
「まぁ確かにそうだろうな、しかし瀧風は一人かも知れんのだ。誰かが探して見つけて合流するしかないだろう、生憎お前や咲、それに風の騎士だって迂闊には動けんだろ」


正論を真っ向から叩きつけられたバルクは押し黙る。
それもそうだろう、バルク、咲、風の騎士。この三人は既にちょっとした陣形を知らず知らず組み立てていた。バルクは怪我の為迂闊には動けず、咲はそのバルクの治療。そして風の騎士はその二人を警護することが、自然に組み立てられていた。
サイクスはバルクの手を裾から離して咲の所に押した。


「とりあえず俺が行って、見つけ次第ここに連れてくる」
「頼みます」
「お願いね、サイクス」
「ああ」


サイクスは早々に立ち去る。ただそれを怪訝に見つめる風の騎士が居たことは、誰も知らない









誰も、何も、全てが無い場所に瀧風は倒れていた。
フラリと、無意識のままに瀧風は立ち上がる。全てが停止した彼は動けるはずはないのだが……。
彼は動いていた、死んでいたはずなのに、殺されたはずなのに。
しかしゆっくりと、着実に彼の意識は戻ってゆく。


「─────…………………………?」


瀧風の視界がだんだんとはっきりしていく、しかしここは誰も、何も、全てが無い場所。視力では何も見えなく、頼りになるのは聴力といったところか。
そうこうしているうちに、瀧風の意識が完全に戻った。


「──……確か、俺は」


不意に瀧風は自分の左胸を触る。
ぐちゅり、と生々しい音が聞こえた。不思議と痛みを感じないのか、瀧風は変な感覚を覚えていた。
しかしそんな事は後にしたのか、瀧風は辺りを見渡す。しかし見渡す限り何も無い、小さく舌打ちすると歩き始めた





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