Novel Rozen

□短編集〜薔薇〜
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代価



扉を開ける・・・
そこには、薔薇水晶がいる・・・。


―――薔薇水晶、ローゼンメイデン第7ドール


だが、それは、槐が作った偽者・・・だった。
そのことに誰も気づいていないが・・・



今、こうして薔薇水晶と会っているのは、戦うためではない・・・
そもそも、こんな事をしているのが、彼女達に知れたらどうなるだろうか・・・。



「蒼星石・・・。」
「薔薇水晶、どうしたんだい?」
「会いたかった・・・だけ・・・蒼星石は、良いの?此処に来て・・・」
「かまわないさ・・・僕は戦いに来たわけじゃない・・・真紅も、アリスゲームを放棄しようとしている・・・。」


そう・・・と呟く・・・
薔薇水晶は、水銀燈と組んで、真紅たちを倒そうとしていた・・・
それを、言い出せなかった・・・
水銀燈には、蒼星石に手を出したら、容赦はしない
と言っておいたが・・・。



「蒼星石・・・」
「どうしたの?」


薔薇水晶は、蒼星石を抱きしめる・・・。
蒼星石の顔は朱に染まる・・・。

すると、薔薇水晶の表情が変わり、蒼星石を突き飛ばす


「うわっ!?」


薔薇水晶は去っていった・・・。
すると、背後から、聞きなれた声がした


「蒼星石ー!!大丈夫ですかぁ?」
「え?あぁ・・・」


なるほど・・・翠星石が来たから、僕を突き飛ばしたのか・・・
と考え込む・・・


「怪我はねぇですか?」
「あ・・・うん・・・」


蒼星石は、閃いた。


「・・・何処いくですか?」
「倒しにいくに決まってるだろ?」
「ダメです!!いくら蒼星石でも、一人じゃ・・・」
「僕は、馴れ合いは好きじゃないんだ。」
「蒼星石!!」
「レンピカ!!」


ジャキンと言う音を立てて、翠星石に庭師の鋏を向ける・・・。


「邪魔をするのなら、容赦はしない・・・君を倒せば、僕は誰にも負けないからね・・・」
「蒼星石・・・?」


ドゴッ・・・と言う音を立てて蒼星石の拳が翠星石の腹にめり込む・・・
翠星石は崩れ落ちる・・・気を失っているようだ・・・。

ごめんね、翠星石、と耳元で呟く。


「真紅、翠星石を連れて行ってくれ、僕はもう君たちとは敵対している。」
「だったら、今、翠星石を倒せばいいのだわ。」
「彼女には、まだ"今"を楽しんでもらいたいんだ。」


じゃあ・・・と、飛び立とうとするが


「待つです!!」


と、後ろで声がした・・・。


「本当に・・・もう・・・」
「あぁ・・・君とは一緒にいられない・・・」


翠星石・・・君を捨ててまで・・・僕は薔薇水晶を愛している・・・。


「どうしても、倒すと言うのなら・・・翠星石を倒してからいくです!!」
「・・・わかった・・・・。」


「レンピカ!!」


蒼星石の人工精霊が眩く光る

視力が戻った二人の視界に、蒼星石はいなかった・・・。



「薔薇水晶!!」
「蒼星石・・・なんで?」
「はは・・皆を捨ててまで追いかけて来た・・・」
「そんな・・・!?」
「それくらい・・僕は君を・・・愛してる・・・。」
「蒼星石っ!!」


二人は、抱き合う・・・

蒼星石は、この後・・・戦いに参加し・・・
水銀燈にローザミスティカを奪われてしまうのでした・・・
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