Novel Rozen

□短編集〜薔薇〜
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強奪



その日、薔薇水晶は暇だった・・・
雪華綺晶はいない・・・
特にすることもない・・・


「寝ようかな・・・・」


眠れるわけがない・・・


「そうだ、蒼星石のところへいこう・・・」


蒼星石・・・私の愛している人・・・
待ってて今行くから


などと心の中で呟くと
立ち上がり、音速で蒼星石の元へ向かった



「着いた・・・はぁはぁ・・・」


すると、家の中から叫び声が聞こえた


「てめーとっとと蒼星石から離れるです!!」
「やぁよ、ラブラブなんだからぁ」
「きぃぃ!!ぶっ殺すですー!!」


水銀燈に抱きしめられながら顔を真っ赤にしている愛しい人の姿があった・・・


「水銀燈・・・ヌッコロス・・・」


「もう我慢ならねえです!!!スィドリーム!!」
「なっ!!」


翠星石は痺れを切らして人工精霊を呼び出した


「覚悟するです!!水銀と・・・」
「あらぁ?」


流石にこれはまずいと思った蒼星石が止めに入る

起こってる蒼星石も可愛い・・・
そんな事考えてる場合じゃないのだが・・・


「翠星石、喧嘩は良くないよ?それにこんな事で人工精霊を呼び出すなんて・・・」


原因は蒼星石自身なのだが・・・
鈍い奴だ・・・と薔薇水晶は思う・・・
そんなところも可愛いのだが・・・


お・・・水銀燈が蒼星石を離した・・・
ちゃ〜んす☆


音速で蒼星石をさらうと自分の家に連れて行く
幸運な事に、雪華綺晶がいない・・・


ありがとう!!と心の中で呟く
そして蒼星石を抱きしめる


「薔薇水晶?」
「暖かい」
「え・・・あの、離してくれるかい?」
「イヤ」
「え?」


きっぱりと断る
蒼星石は顔が真っ赤になっている


可愛い・・・


「もう少し・・・このままでいさせて?」
「・・・少しだけだよ?」


蒼星石もこうされる事は嫌いじゃなかった・・・


どれだけそうしていただろうか・・・
蒼星石が口を開いた・・・


「あ・・・あの、もうご飯作りにいかなきゃ・・・」
「なんで?」
「あ、今日、のりさんいないらしくて・・・」
「・・・わかった・・・」


名残惜しそうに蒼星石を離すと蒼星石を見つめる


「じゃぁ、ばいばい、薔薇水晶」
「・・・・。」


そして、部屋を出ようとしたとき


「蒼星石」
「ん?なに薔薇水・・・っ!!?」


蒼星石は喋れなかった・・・
唇を塞がれたのだ・・・


――――キス?


「んっ・・・」
「可愛い・・・」


薔薇水晶の手から離れた蒼星石は顔が真っ赤だった


「なにするんだ薔薇水晶!!」
「キス」


その言葉でさらに真っ赤になる蒼星石


「ばいばい、蒼星石」
「うぅ・・・・」


トボトボと帰っていく蒼星石を見ながら
キスしちゃった♪
とかつぶやく薔薇水晶だった




家に帰ってきた蒼星石を出迎えたのは、雛苺、真紅、ジュンだった
翠星石はいないようだ・・・


「どうしたのー?蒼星石顔真っ赤なのー」
「本当なのだわ、風邪なのだわ?」


人形でも風邪引くのか?
と聞くジュンを軽くスルーして言う


「な、なんでもないよ・・・さ、ご飯作ろう!!」


先ほどの事を思い出して、また真っ赤になる蒼星石


そんな光景を楽しんでいる薔薇水晶がいた・・・。
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