Novel Rozen

□短編集〜翠〜
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ある朝の出来事



―――翠星石?


愛しい人に自分の名を呼ばれた・・・
目の前には妹がいる・・・
暖かい・・・


窓のほうから音がしたが・・・
起きない

まだ眠いからだ・・・



また、声がする・・・

起きなきゃだめだよ?
早く起きて―――と



「うぅ・・・なんだかよく寝たですぅ・・・」
「あ・・・忘れてた・・・」
「あらぁ?翠星石、いたのぉ?」

未だ状況が把握できてない翠星石に
水銀燈が言った


「どうして双子のくせににてないのかしらねぇ・・・」
「そんな事より!!ななな・・・なにやってるです!!」


翠星石がみた光景は
後ろから抱きしめて、耳に息を吹きかけている水銀燈と
顔を真っ赤にしている愛しい妹だった


「てめーとっとと蒼星石から離れるです!!」
「やぁよ、ラブラブなんだからぁ」
「きぃぃ!!ぶっ殺すですー!!」


水銀燈に抱きしめられながらその光景を見ていた蒼星石は『水銀燈・・・暖かい・・・』
等とのんきに思っていたらしい・・・


そんな事を翠星石が知ったら気絶するかもしれないが


「もう我慢ならねえです!!!スィドリーム!!」
「なっ!!」


翠星石は痺れを切らして人工精霊を呼び出した


「覚悟するです!!水銀と・・・」
「あらぁ?」


流石にこれはまずいと思った蒼星石が止めに入る


この時翠星石は決定的な敗北感を味わった


『そ・・・蒼星石は・・・水銀燈が・・・』


さらに、追い討ちをかける様に蒼星石が言った


「翠星石、喧嘩は良くないよ?それにこんな事で人工精霊を呼び出すなんて・・・」


原因は蒼星石自身なのだが・・・
鈍い奴だ・・・と翠星石は思う・・・
そんなところも可愛いのだが・・・


だが、水銀燈に負けたという屈辱から
戦う気も失せた


「わかったですぅ・・・今日のところは止めといてやるです・・・」
「ふん・・・じゃぁ行きましょう蒼星せ・・・」


と水銀燈が言うと・・・
そこに蒼星石の姿はなかった・・・


「いないーーー!!!」
「いったいどうしたです!!」
「メイメイ!!探して!!」
「スィドリームも行くです!!」


「はぁ・・・嫌いになったですか・・・」


いったん消えて別の場所で水銀燈と一緒にいるのかも知れない・・・
だが、そんな事で諦める翠星石ではなかった


「絶対、諦めないですぅ」


そう、決心した
そんな、ある朝の出来事だった





夕食前
蒼星石は顔を真っ赤にして帰ってきたらしい・・・
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