Novel Rozen

□短編集〜翠〜
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生きる価値



僕の生きる価値は・・・?



ガチャと言う音と共に、蒼星石が家の中に入ってくる。
だが、蒼星石は、ボロボロの状態だった。



「蒼星石!?」
「はは・・・」


ドサッと床に倒れこむ
それを翠星石が抱き上げる。


「おめぇはいつもそうです・・・。」
「何が・・・?」
「いつもそうやってボロボロになるまで戦って・・・。」
「はは・・・生きる価値を見出せないだけなんだけどね・・・」


絶望している、だが、輝いているような笑顔だ。
翠星石の頬が少し、赤くなる。


「翠星石?」


蒼星石を抱きしめる。
蒼星石はキョトンとした表情で翠星石を見つめる。


「蒼星石」
「何・・・?真剣な顔して」
「失礼な奴ですね・・・いつでも真剣ですよ」


蒼星石は内心ドキドキしていた。
翠星石に耳元で囁かれる度に心臓が速くなる。


「蒼星石・・・翠星石の為に生きろです。」
「はぃ・・・?」
「だーかーらー」


翠星石は顔を真っ赤にして言う


「おまえの生きる価値は翠星石だって事ですよ!!」
「ふふ・・・日本語としてはおかしいけど・・・・」


蒼星石には伝わったようだ。
クスクスと笑う蒼星石に顔を真っ赤にして怒る。


「おま・・・人が必死に言ってるってのに・・・」
「はは・・・ゴメン・・・つい・・・」
「・・・いいですよ・・・」
「告白かなぁ・・・?」


その言葉で、更に真っ赤になる翠星石。


「なっ・・そんなつもりで言ったわけじゃねぇです!!」
「ふーん・・・?」


明らかに疑った目で翠星石を見る。


「・・・ただ、人生に絶望してる、お前に・・・」
「ふふ・・わかったよ・・・」
「・・・」
「僕は・・・君の為に・・・。」


翠星石は、また真っ赤になってしまった。


「ふふ・・・さっきから真っ赤になってばかりだね」
「あっ・・姉をからかう妹がいるかですっ!!」
「ゴメンね・・・でも・・からかったわけじゃないんだよ?」
「ふぇ?」


素っ頓狂な声をあげる翠星石に蒼星石が言う。


「本気だよ?僕・・・翠星石の為に生きる。」
「蒼星・・・石?」
「これからも・・・いつまでも・・・」
「・・・翠星石も、蒼星石の為に生きるですよ。」


二人は、お互いの愛を確かめ合った。
その言葉以外、他に何もいらなかった。



蒼星石は、生きる価値を見つけることができたのだ
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