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□夢の終わりと銀世界
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――記憶の断片――



あぁ・・・私は、永い年月の間に、忘れたことがたくさんある。


永久を生きる私達も、すべてを記憶するには足りない。



8年の歳月は、短く、辛いものだった・・・



孤独・・・それが一番怖いものだと言う事も・・・




「そうね・・・8年前、nのフィールドで、倒したはずの薔薇水晶が生き返ったの・・・」


水銀燈は、真剣な表情で、話し始めた・・・




その日、水銀燈は、金糸雀、翠星石と途中で合流し、急いで、薔薇水晶の居る場所へ向かっていった・・・


「っ!?」
「薔薇水晶!!」


そこには、居るはずの蒼星石の姿はなく
真紅が倒れていた・・・


「真紅!?」


嘘だ・・・真紅が・・・薔薇水晶に・・・?
水銀燈は絶望した、真紅が負けるなんて・・・


とにかく、戦わなければ・・・
三人は、決心した・・・。


まず、金糸雀が、薔薇水晶の動きを封じ
それを翠星石が更に樹で絡めとり
最後に水銀燈が、翼で攻撃するという作戦だった。


作戦は見事に決まり、薔薇水晶は倒れたかに見えた・・・
だが・・・


「金糸雀!!」


突如、地面から水晶が飛び出し、金糸雀を貫いた。
すぐに翠星石が金糸雀のローザミスティカを取る。


だが、薔薇水晶が、上から剣を振り下ろしてきた。


翠星石もまた、倒れてしまった。



「っ・・・許さない!!」
「私の・・・勝ち・・・」


ローザミスティカを吸収した薔薇水晶の力には
水銀燈は勝てない・・・

はずだった・・・


だが、突然、薔薇水晶の動きが止まり
水銀燈は、すばやく、薔薇水晶を斬った。



薔薇水晶の体内から、ローザミスティカが出てきた。
水銀燈は、それを優しく包み込んだ。



「そうか・・・お前が行った時・・・真紅はもう・・・」
「でも・・・真紅が薔薇水晶に負けるとは思えないわ・・・」
「・・・」
「きっと何かあるはずよ・・・」


水銀燈は、今日まで、ずっとそのことを気にかけていた・・・


「蒼星石と、真紅しか知らない何かがあるはずよ・・・」
「蒼星石・・・いなかったんだろう・・・?」
「えぇ・・・でも、真紅は確かに言ったわ」


蒼星石も居るわ、早く来て
と、ホーリエを通じて・・・


「それを探して、私はnのフィールドに行き続けるの・・・」
「・・・」
「鏡はある?」
「あぁ・・・あの鏡はこっちに持ってきたんだ・・・」


わざわざ、フランスまで・・・
と、呟きながら鏡の前に立つ・・・。


「あなたも行く?」
「もちろんだ、契約したんだぞ」


今日は、何かが見つかりそう・・・そんな気がしていた・・・
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